タイトル


「乳腺炎重症化予防ケア診療報酬新設」に対するJALCの見解
 
 
 2018年9月2日
NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会(JALC)
 
 平成30年度診療報酬改定が行われ、乳腺炎が原因となり母乳育児に困難がある患者に対して、乳腺炎の重症化及び再発予防に向けた包括的なケア及び指導を行った場合の診療報酬が新設されました1)。このことで乳腺炎のケアが診療報酬の対象になり、母乳育児支援が「周産期医療の充実」の中に含められたのは大変意義のあることです。
 その施設基準としては、イ)当該保険医療機関内に乳腺炎に係る包括的なケア及び指導を行うにつき十分な経験を有する医師が配置されていること。ロ)当該保険医療機関内に乳腺炎に係る包括的なケア及び指導を行うにつき十分な経験を有する専任の助産師が配置されていること、と記載されています。
 国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)は母乳育児支援の専門家として、国際的に認められた有資格者です。IBCLCのケアは、科学的根拠のある情報とカウンセリング・スキルを用いて、母親が自分自身の母乳育児の目標を達成するための支援を行います。IBCLCの資格は、米国に本部を置くラクテーション・コンサルタント資格試験国際評議会(International Board of Lactation Consultant Examiners:IBLCE)2)が実施している全世界共通認定試験に合格することによって得られます。2018年2月現在で世界111カ国に29000人以上、日本には981人のIBCLCがいます3)。IBCLCは、IBCLCの「職務行動規範」と「業務範囲」「臨床能力」に基づき、母乳育児支援を行います2)
 JALC4)は、日本におけるIBCLCおよび母乳育児支援者の団体で、本会設立当初から開催している定期学習会で国際的にコンセンサスのある方法を日本の現状を踏まえて母乳育児支援に役立てるために情報提供してきました。乳腺炎の予防、診断、治療に関してはWHOの”Mastitis”5)、ABM(Academy of Breastfeeding Medicine:母乳育児医学アカデミー)臨床指針の「乳腺炎」6)を支持しており、後者に関してはその翻訳7)を情報公開しています。
 JALCは上記のような世界標準である専門的な母乳育児支援についての教育や知識が広く行き渡ることを希望しています。 今後、エビデンスとカウンセリング・スキルに基づいた母乳育児支援を行っている専門職として、IBCLC有資格者に対しても、診療報酬が認められるように希望します。そのためにも「国際認定ラクテーション・コンサルタント:IBCLC」を、より広く多くの人に知っていただくため、引き続き幅広い活動を継続する方針です。
 引用・参考資料
  1. 厚生労働省保険局医療課 平成30年度診療報酬改定の概要
    http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197997.pdf p114(2018.7.24確認)
  2. https://iblce.org/japanese-2/(2018.7.24確認)
  3. https://iblce.org/about-iblce/current-statistics-on-worldwide-ibclcs/
    (2018.7.24確認)
  4. NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会. JALCについて.
    http://jalc-net.jp/information.html(2018.7.24確認)
  5. World Health Organization(著)(2000). Mastitis: Causes and Management.  http://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/66230/WHO_FCH_CAH_00.13_eng.pdf;jsessionid
    =4BB57AEF9637F7994D0ABE4B35A7AB09?sequence=1
    (2018.7.24確認)
  6. ABM Clinical Protocol #4: Mastitis, Revised March 2014.
    https://abm.memberclicks.net/assets/DOCUMENTS/PROTOCOLS/4-mastitis-protocol-english.pdf(2018.7.24確認)
  7. NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会.ABM臨床プロトコル第4号 乳腺炎 (2014 年改訂版)
    https://abm.memberclicks.net/assets/DOCUMENTS/PROTOCOLS/4-mastitis-protocol-japanese.pdf(2018.7.24)
以上
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