健やか親子21推進協議会宛 健やか親子21の新しい取り組みの指標に関する提言 |
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2019年3月17日 NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会(JALC) 〒981-3133 仙台市泉区泉中央2丁目17-3 フリード泉中央203号 代表理事 田中奈美 つくばセントラル病院産婦人科部長 nami-tnk@land.linkclub.or.jp |
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新規取り組みの指標として、下記を提案します。 健康水準の指標として、「母乳育児の割合」の復活を要望する。 生後1ヵ月のみならず、生後3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月の母乳率も加えることが望ましい。 |
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理由 健やか親子21(一次)では、生後1ヵ月時の母乳育児率が指標としてあげられていましたが、二次では「参考とする指標」になっています。参考とする指標だと、5年後、10年後の目標とする数値が示されなくなり、国の母子保健の指標と目標に母乳育児に関する項目がなくなってしまいます。 母乳育児率は喫煙率などと並んで、多くの国で国民の健康の指標として重要と考えられている指標であり、なくなるというのは国際的な流れに逆行します。 現に、WHOのリスト(資料1:各国における生後6ヵ月の母乳育児率)では、154ヵ国中、工業国では米国、英国、ベルギー、デンマーク、フィンランド、イタリア、オランダ、ノルウエー、スペイン、スウエーデン、オーストリアなどが記載されている一方、日本のデータがありません。 指標の一例として、米国のHealthy People2020をあげます(資料2)。生後1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月での母乳育児率が指標になっており、具体的な目標値が設定されています。米国(資料3:CDC)以外にも、英国(資料4)、オーストラリア(資料5)では、政府機関のサイトに母乳育児に関する厖大なデータがファイルされ、多くのページを割いて母乳育児を保護・推進・支援していることがわかります。 2020年には日本で栄養サミット開催が予定されていますが、そこで議論される主要な取り組みの一つ「Global nutrition targets 2025」の5つの目標の中には、生殖可能年齢にある女性の貧血の減少や低出生体重児の出生率の減少に続いて、母乳育児率(出生後6ヵ月間母乳だけで育つ子どもの割合を50%以上に増やす)があげられています(資料6)。健康や栄養に関する国際的な取組に日本が参加協力していくためには、国内での指標として1ヵ月に限らずその後1歳までのkey ageでの母乳率は必要不可欠と思われます。1歳までとする他の理由としまして、母乳育児の母子への利点の多くは量依存性であり(資料7)、長期的な母乳率を把握し、母乳育児を継続できるような支援を行うことは、予防医学としても重要と思われます。 具体的な提案 以上の理由により、健康水準の指標として母乳育児率を復活し、生後1ヵ月のみならず、生後3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月の数値についても新規に設定することを提案します。 またその際には、日本では混合栄養が多いことにも鑑み、母乳のみで育てている割合(exclusive breastfeeding)のみならず「母乳のみ+混合栄養」の割合(any breastfeeding)も含めることが適切と思われます。 |
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参考となる情報
別表:米国Healthy People2020 における「Infant Careの目標」
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