新型インフルエンザ【パンデミック(H1N1)2009】 と母乳育児

(2011年3月9日改訂版)
NPO法人 日本ラクテーション・コンサルタント協会

 2009年から2010年にかけて世界に大流行したパンデミック(H1N1)2009ですが、今年もその流行が全国でみられております。しかし、今回の流行は初めてではないため、多くの場合は季節性インフルエンザと同様に考えてよいとされています(1)。
 日本では、昨年の流行状況とパンデミック(H1N1)2009の最新の知見をもとに、日本小児科学会から「2010—2011 シーズンのインフルエンザに対する出生後早期の新生児への対応案」が発表されています(2−3)。これによると、「正期産児、正期産児に準ずる対応が可能な早産児は、出生直後の不要な母子分離を避け、飛沫・接触感染に十分注意を払いながら季節性インフルエンザで行ってきた対策を行う」ことが述べられています。また、妊娠中の女性がインフルエンザを発症した場合に早産となる可能性があることやインフルエンザにより重症化や死亡した新生児(特に早産児)の報告があることなどから、「今シーズンも引き続き、慎重に周産期・新生児領域のインフルエンザ対策を講じることが必要である」ことも強調しています。また、授乳については、お母さんが赤ちゃんのお世話をできるくらいの状況であれば、飛沫・感染予防策(マスク着用、しっかりとした手洗いなど)を守った場合には「直接母乳を与えても良い」としています。
 どのような場合でも、お母さんが赤ちゃんに母乳を与えることが感染予防や重症化の予防につながることには変わりがありません。咳エチケットや手洗いなどのなどの感染予防策をとりながら、母乳育児を継続して赤ちゃんを感染から守りましょう。
 季節性インフルエンザの場合の対応については、JALCオフィシャルサイト「母乳育児Q&A:季節性インフルエンザ(4)を参照してください。

1) CDC(Centers for Disease Control and Prevention)
   http://www.cdc.gov/h1n1flu/ (2011.3.5ダウンロード)

2)日本小児科学会新生児委員会.
  パンデミックインフルエンザA(H1N1)2009の新生児症例についての2009 年度全国調査,日児誌,114,
   1625—1628, 2010

3)日本小児科学会、インフルエンザ対策室. 2010—2011
  シーズンのインフルエンザに対する出生後早期の新生児への対応案日児誌,114, 2016—2018,2010
  http://www.jpeds.or.jp/influenza/influenza_5_101227.pdf (2011.3.5ダウンロード)

4)JALCオフィシャルサイト「母乳育児Q&A:季節性インフルエンザ」
  https://www.jalc-net.jp/FAQ/ans7.html (2011.3.5ダウンロード)

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以下のパンデミック(H1N1)2009の内容は、参考記録として残してあり、今後改訂されることはありません。
今後は季節性インフルエンザの項を参照してください。

  https://www.jalc-net.jp/FAQ/newinflu.html

初版:2011年8月28日掲載