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「産後ケア事業ガイドライン」改定案に関するパブリックコメント

https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000277407
こども家庭庁成育局母子保健課 あて2024年8月30日

宮城県仙台市泉区中央2丁目17-3 フリード泉中央 203号
NPO法人日本ラクテーションコンサルタント協会
担当 大坪 三保子

私たちは、乳児栄養に関する国際的な認定機関で認定された、国際認定ラクテーション・コンサルタントによる非営利団体です。メンバーは、新生児科医、小児科医、産婦人科医、助産師、保健師、看護師、栄養士、公認心理士、公衆衛生の専門家、母親当事者のピアサポートグループのリーダーなど多職種にわたります。乳幼児栄養の選択に関して、母親が十分に科学的根拠のある情報を得た上で納得した選択をすることを支持し、母親の気持ちに寄り添った支援を大切にしています。その立場から、以下の提案をしたいと思います。

赤字の部分の追加、および変更を提案します。

7実施の方法
(5)ケアの内容
3、適切な授乳が実施できるためのケア(乳房ケアを含む)   →(乳房ケアの定義)が乳房のマッサージのみを連想させないでしょうか?あいまいなので削除もしくは(母親の希望に即したケア)に変更
授乳の支援に当たっては、母乳や育児用ミルクといった乳汁の種類にかかわらず、母子の健康の維持とともに、健やかな母子・親子関係の形成を促し、育児に自信をもたせることを基本とする。母乳は母親と児の両者の健康にとって重要である。母乳育児を希望する母親への支援については、産後早期の母乳育児確立は母親が育児への自信を持つことにつながる1)。授乳の支援はWHO/UNICEF「母乳育児がうまくいくための10ステップ」2)の内容を踏まえて「授乳・離乳の支援ガイド(2019 年3月)」を参考に支援し、母親が育児への自信をもてるようにする。また母子の健康面から補足が必要な場合は適切な医学的アセスメント充分を行い、母親とよく話合いその方法を母親やその家族が安全に適切に行えるように情報提供して支援する。できるかぎり母子を引き離さずにいつでも授乳できるような環境を作ることが、母乳育児を軌道に乗せやすい。必要に応じて、産婦が行う搾乳の支援なども行うことが考えられる。とりわけ早産児の場合、母乳は特に重要である。発育の程度は個人差があるため、母乳が不足しているかどうかについては、児の状態、個性や体質、産婦の状態や家庭環境等を考慮に入れたうえで、総合的に判断する必要がある。授乳の開始後、産婦等は授乳量が足りているか、授乳方法が適切であるかといった不安をもつ場合がある。児の発育を評価する上で体重は重要な指標の一つであるが、児の発育は、出生体重や出生週数、栄養方法、児の状態によって変わってくるため、 乳幼児身体発育曲線を用い、これまでの発育経過を踏まえるとともに、授乳回数や授乳量、排尿排便の回数や機嫌等の児の状況に応じた支援を行うことが重要である。

1) 授乳離乳の支援ガイド 2019 P9 表2 授乳について困った事
  https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html
2)https://www.who.int/teams/nutrition-and-food-safety/
food-and-nutrition-actions-in-health-systems/ten-steps-to-successful-breastfeeding

訂正案提供根拠と理由
医学雑誌のLancetの母乳育児シリーズ(2016, 2023)に明記されているようにすべての乳児と母親にとって母乳育児支援は重要です。そのために産後支援はWHO/UNICEF「母乳育児がうまくいくための10ステップ」にあるようなエビデンスに基づいた支援をすることが大切であり、支援者には母乳育児を支援するためのスキルと知識が必要とされます。それを明確にし、補足栄養が必要な母親への充分な配慮と支援ができるように支援することをガイドに明記していただきたいと思います。

以上 
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