ご自身のお薬が赤ちゃんに影響するのではないかと思って心配されているのですね。ほとんどの薬において、ごく少量は母乳中へ移行しますが、赤ちゃん自身が飲んだことによって腸から吸収され作用するほどの量でないことが分かっていますのでご安心ください。ただし中には移行する量が多い薬や、少量でも薬効から授乳を控える方がよいとされている薬もあります。以下に授乳を中断する必要がない薬と、控える方がよい薬について説明します。
授乳を中断する必要がない薬には抗生剤、抗ウイルス薬(インフルエンザの薬、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の薬、口唇ヘルペスや帯状疱疹の薬)、解熱鎮痛薬、花粉症などの抗アレルギー薬(点眼薬、点鼻薬なども局所投与ですので問題ありません。市販されている薬についてはお母さんが眠気を感じないものであればよいと言われています)などがあります。一般的に処方される薬で授乳を中断する必要のある薬はないと言っても過言ではありません。具体的には妊娠と薬情報センターの「授乳と薬について知りたい方へ」のページから「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」の表を見ることができます。
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/
授乳中に薬を処方された場合には処方医や薬剤師から授乳をやめるよう指示されることがあるかもしれません。また薬の添付文書に「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」と書かれているためにどうすればよいか迷ってしまうこともあるかもしれません。そのような場合には自己判断で薬をやめたり、あるいは授乳を中断したりせずに授乳と薬に詳しい人に相談しましょう(上記)
【参考文献】
- Drug and Lactation Database (LactMed):https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501922/(2024/11/18アクセス確認)
- 妊娠と授乳 第3版.伊藤真也、村島温子.南山堂.2020年
- 向精神薬と妊娠・授乳 第3版.伊藤真也、村島温子.南山堂.2023年
- 母乳育児ハンドブック.日本小児医療保健協議会.東京医学社.2022年
【文責】和田 友香 国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 新生児科 (小児科医・IBCLC)
【ピアレビューアー】斎藤朋子 引地千里
【完成年月日】2025年1月25日
【免責】この情報は医学的な診断や治療の代替となるものではありません。詳しくはかかりつけ医とご相談ください。