妊娠中から母乳育児についての準備をされることは、とても素晴らしいことです。最も大切なのは授乳に関する知識を学び、家族や支援者と情報を共有することです。それ以外の特別な身体的準備(乳頭マッサージなど)はしなかったとしても心配しなくて大丈夫です。また、産後に利用できる支援体制(Q16)を事前に確認しておくと安心です1,2)。
持病がある場合は、医療チームと相談し、安全な母乳育児が可能な治療計画(Q2)を立てましょう。家族と情報を共有することで、産後も安心して育児に臨むことができます。信頼できる支援体制をつくることが、母乳育児を成功させるポイントの1つです3,4)。
搾乳についての知識を妊娠中に身につけると役立ちます。手による搾乳方法(Q18)はシンプルで有用であり、職場復帰時や赤ちゃんが直接飲めない場合にも活躍します。また、搾乳した母乳をスプーンやカップ(下記*)で与える方法も知っておくと便利です。哺乳びん等、授乳クッション(自宅にある枕やクッションで代用可能)や保護器などの物品は必ずしも事前に用意する必要はありません。必要なものは赤ちゃんが生まれてからでよいでしょう。そうすることで無駄を減らすことができます。5)
戸惑いや不安があれば、ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)や医療機関、地域のサポートグループ(LLLなど)(Q16)に相談しましょう。
【参考文献】
- World Health Organization. Breastfeeding. https://www.who.int/health-topics/breastfeeding (Accessed January 1, 2025. )
- American Academy of Pediatrics. Breastfeeding and the Use of Human Milk. Pediatrics. 2012;129(3):e827-e841.
- 日本産科婦人科学会. 母乳育児と薬物使用に関するガイドライン. 東京: 日本産科婦人科学会; 2020.
- Hale TW. Medications and Mothers’ Milk. 18th ed. Hale Publishing; 2019. UNICEF. Breastfeeding when you return to work. https://www.unicef.org/parenting/food-nutrition/breastfeeding-workplace (Accessed January 1, 2025. )
【文責】山下有加 昭和大学医学部産婦人科学講座 (産婦人科医・IBCLC)
【ピアレビューアー】
古賀浩子 吉澤志麻
【完成年月日】2024年12月1日
【免責】この情報は医学的な診断や治療の代替となるものではありません。詳しくはかかりつけ医とご相談ください。