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赤ちゃんとの今後の生活を考えながらいつまで母乳をつづけようかしら、どれくらい続くものなのかしら、と情報を求めておられるのですね。

世界保健機関(WHO)や米国小児科学会では、最低でも生後6ヶ月間は母乳だけで育てることを推奨しています。赤ちゃんの免疫力を高めるためにも、母乳は非常に重要な役割を果たしますし、生後6ヶ月までは母乳だけで栄養を十分に摂取できる期間でもあります。その後徐々に補完食(離乳食)を進めつつ、2歳かそれ以降まで少なくとも1歳すぎるまで母乳を続けることを推奨しています。長い期間飲んでいても母乳中の栄養は変わらず、1歳を過ぎていても母乳中には多くの感染防御因子が含まれており、むしろ増えているものもあることがわかっています。 

またこの時期の授乳は単に『赤ちゃんへの栄養』だけではなく、『赤ちゃんのこころの栄養』という役割もあります。赤ちゃんはある時期がくると徐々に自分の世界を広げていきます。その時授乳することで不安や落ち着かない気分を受け止めてもらうと、勇気がわいてきて再び世界をひろげることができます。さらに卒乳は子どもが初めて自分のことは自分で決める場面でもあります。授乳を通した母と子のふれあいによって母子の絆を深め、卒乳の過程によって赤ちゃんが精神的に成長・自立するのを支えることができるようになるのです。

いつどのように母乳を卒業するかはそれぞれの赤ちゃんによって違います。母乳育児を続ける期間には、お母さんと赤ちゃんのライフスタイル、健康状態などが影響します。また、赤ちゃんの成長具合やニーズにも個人差があります。早くから母乳以外の飲み物や食事を受け入れる赤ちゃんもいれば、長い間母乳を必要とする赤ちゃんもいます。母乳育の卒業はいろいろな時期と方法があります。赤ちゃんにもお母さんにも負担が少なく、それぞれにあった心地よい方法を見つけられることが大切です。 

授乳を続けながら仕事復帰することも可能です。仕事復帰後も母乳育児を続けることは赤ちゃんの健康や母子の絆を深める上で多くのメリットがあります。また、長く母乳育児をつづけるためにはお父さんの協力もとても大切になります。詳しくはQ14、Q17をご参照ください。 

母乳育児は赤ちゃんに必要な免疫や栄養を与え、お母さんと赤ちゃんの絆を深める素晴らしい時間でもあります。その期間を楽しみながら、お母さん自身と赤ちゃんの気持ちを大切にしてそれぞれにあった卒乳の時期をみつけられるといいですね。 

【参考文献】

  1. 日本ラクテーションコンサルタント協会編 (2015) 母乳育児支援スタンダード 第2版 医学書院
  2. NPO法人ラ・レーチェ・リーグ日本オフィシャルサイト「授乳のヒント 卒乳のころ」https://llljapan.org/weaning/ (2024/12/26 アクセス)
  3. NPO法人ラ・レーチェ・リーグ日本オフィシャルサイト「授乳のヒント 働く・赤ちゃんと離れるとき」https://llljapan.org/work/ (2024/12/26 アクセス)
  4. WHO (2021) Joint statement by UNICEF Executive Director Henrietta Fore and WHO Director-General Dr. Tedros Adhanom Ghebreyesus on the occasion of World Breastfeeding Week https://www.who.int/news/item/01-08-2021-joint-statement-by-unicef-executive-director-henrietta-fore-and-who-director-general-dr.-tedros-adhanom-ghebreyesus-on-the-occasion-of-world-breastfeeding-week (2024/12/26 アクセス)
  5. American Academy of Pediatrics (2022) POLICY STATEMENT Breastfeeding and the Use of Human Milk. PEDIATRICS 150 (1): e2022057988 https://doi.org/10.1542/peds.2022-057988 (2024/12/26 アクセス) 抄訳 : https://jalc-net.jp/wp/wp-content/uploads/2024/10/AAP2022.pdf  (2024/12/26 アクセス)

 

【文責】森丘千夏子 (小児科専門医・新生児専門医・IBCLC)

【ピアレビューアー】五十嵐祐子 古賀浩子 引地千里

【完成年月日】2024年11月30日

【免責】この情報は医学的な診断や治療の代替となるものではありません。詳しくはかかりつけ医とご相談ください。