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授乳中に、いろいろなお薬を飲んだり、使ってよいか不安に感じられることもありますね。実際、「授乳中って、薬は飲めないですよね?」とのご質問をいただく事も多いのですが、なかには「どこに相談してよいかも分からなかったため、我慢していました」とお話しになる方もいらっしゃるので、ぜひ、こちらでお伝えできればと思います。

 

花粉症や頭痛などの場合、飲んだり、使うことのできる薬はたくさんあります。特に、外用薬(湿布・点眼・点鼻・点耳薬)はいずれもほぼ問題なく使用することができますし、内服薬でも多くの薬が授乳中でも安全に内服できることが知られています。

「インフルエンザや風邪、胃腸炎などの感染症にかかったら?」の項目でも触れましたが、国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」の「授乳と薬について知りたい方へ」(参考文献1)が、インターネットで調べられる情報として、最も詳しくわかりやすいと思います。また、どうしてもこちらのサイトに載っていない場合には、英語になってしまいますが、アメリカ国立衛生研究所によるデータベース「Lact Med」(参考文献2)で検索することができます。

これまでの日本の添付文書(説明書)では、乳汁への移行が認められたという理由だけで、「授乳を避けさせること」と記載されていました。しかし、2019年に厚生省は「治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること」と改訂する方針を発表しました。これからは、医師や薬剤師など、薬剤を取り扱う医療者がより判断をしやすいように、添付文書(説明書)の記載内容が変更されていくと思われます。(参考文献3)

しかし、2024年時点では、まだまだ移り変わりの途中でもあります。ときに、「授乳を中止するように」「授乳中は薬は処方できない」といった説明を受けるケースもあるかもしれません。そのような場合には、母乳育児中でも内服できるお薬が他にないかを医師や薬剤師と相談して頂いたり、母乳育児に理解のある医師に相談して頂ければと思います。

 

【参考文献】

  1. 国立成育医療研究センター 「妊娠と薬情報センター」ー「授乳と薬について知りたい方へ」:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/ (2024年11月10日URL確認)
  2. アメリカ国立衛生研究所 Drugs and Lactation Database (LactMed®) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501922/(2024年11月10日URL確認)
  3. 医療用医薬品の添付文書等の記載要領の見直しについて https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000502229.pdf  (2024年11月10日URL確認)
  4. 日本小児医療保健協議会栄養委員会編集. 母乳育児ハンドブック 東京医学社 p.39-65

 

【文責】佐藤千穂(小児科医・IBCLC)

【ピアレビューアー】増田千春 森丘千夏子

【完成年月日】2024年12月17日

【免責】この情報は医学的な診断や治療の代替となるものではありません。詳しくはかかりつけ医とご相談ください。