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インフルエンザや風邪、胃腸炎などにお母さんがかかった場合に、赤ちゃんも感染してしまうのではないか、母乳をあげてもよいのかと悩まれることもありますね。ここでは、感染症(主にウイルス)にお母さんがかかってしまった場合についてお話しします。

 

まず、一般的な風邪や胃腸炎などの病気については、母乳によって赤ちゃんにうつることはありません。ですが、飛沫や接触によってうつることが知られていいますので、できるだけ、赤ちゃんの感染の確率を減らすために、手洗いをして、マスクをして授乳をするのがよいでしょう。手指消毒も効果的ですが、一部のウイルス(胃腸炎のウイルスなど)にはアルコール消毒は有効ではありませんので、しっかりと水とせっけんで手洗いをして、ウイルスを洗い流すことも有効です。

そして、母乳でお育てになっている場合には、これまでと同じように授乳を続けるようにしましょう。母乳には、ウイルスに対抗するための免疫の成分が含まれています。ですから、赤ちゃんに母乳をあげることは、むしろ赤ちゃんを病気から守る効果があります。これまでに母乳育児を続けてきたお母さんや赤ちゃんにとって、急に母乳をやめてミルクの授乳を行うことは、とても大変なことであるうえ、お母さんにとっても、赤ちゃんにとっても、あまりメリットは大きくないのです。たとえば、急に母乳をあげなくなることで、乳腺炎になってしまうこともあります。

授乳中の薬の内服についてですが、Q2. に、妊娠中だけでなく授乳中の内服についても触れられているため、ぜひ参考にしていただければと思います。一般的な風邪薬や胃腸炎の薬、インフルエンザの薬など、多くの処方薬が授乳中に内服可能であることがわかってきています。すぐに授乳を中断することを考えたり、お母さんの内服を諦めたりするのではなく、正しい情報を得ることが大切です。詳しくは、国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」の「授乳と薬について知りたい方へ」(参考文献2)に掲載されています。市販薬についても多くが安全であることがわかってきていますが、市販薬は一般的に、複数の成分を混ぜて調剤されており、それぞれの成分について判断するのは大変なこともあります。お母さんの症状に応じて、母乳育児についても理解のある医師に相談し、処方してもらうほうがよいでしょう。

下記の参考文献1〜3 にもわかりやすく説明されておりますので、参考にしていただけるとよいと思います。

最後に。病気になっている時は、お母さんご自身がとてもつらい時です。なかなか難しいこともあるかと思いますが、ぜひ、ご家族など周囲の方にサポートをお願いできるとよいですね。「Q14. パパが参加できる母乳育児って?」も、参考にしていただければと思います。お母さんはご自身の休息と赤ちゃんの授乳だけに専念して、それ以外の赤ちゃんのお世話やおうちのことを周りでサポートしていける、そんな環境であるようにと願っています。

 

【参考文献】

  1. NPO法人ラ・レーチェ・リーグ日本(LLL) 「授乳のヒント」ー「病気など特別なケアが必要なとき」 https://llljapan.org/specialcare/ (2024年11月10日URL確認)
  2. 国立成育医療研究センター 「妊娠と薬情報センター」ー「授乳と薬について知りたい方へ」 https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/ (2024年11月10日URL確認)
  3. 国立成育医療研究センター 「妊娠と薬情報センター」ー「授乳と薬について知りたい方へ」 https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/ (2024年11月10日URL確認)

 

【文責】佐藤千穂(小児科医・IBCLC)

【ピアレビューアー】増田千春 森丘千夏子

【完成年月日】2024年12月17日

【免責】この情報は医学的な診断や治療の代替となるものではありません。詳しくはかかりつけ医とご相談ください。