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授乳に関しては、少なくとも生後6〜12か月まではミルクを与えず母乳で育てた方が、ミルクで育てるよりもむし歯は少なくなることが多くの研究で示されています1)。この差はミルクでは再現が難しい母乳の免疫系の要因による影響と考えられています。このように母乳は本来むし歯になりにくいのですが、1歳を超えて授乳を継続する場合はむし歯が増えることが知られています。

母乳やミルク、自然なままの野菜や果物以外のむし歯の原因になる糖を「遊離糖」と表現しますが、遊離糖の摂取頻度が上がると口腔内細菌のバランスが変化して母乳やミルクに含まれる乳糖を代謝する細菌も増えてしまい、授乳もむし歯の発生に関わるようになってしまいます2)

むし歯予防のためには卒乳を第一に考えるのではなく、まず少なくとも2歳までは甘いものの摂取を控え3)、仕上げ磨きの習慣づけを行い、フッ化物配合歯磨剤を適切に使って4)口腔衛生に配慮しながら、2歳を超えるまでは母乳育児を継続5)しましょう。

なお、むし歯の原因となる菌をうつさないように毎回おっぱいを拭いたり、離乳食のスプーンを分けたりすることを推奨する発信もありますが、それがむし歯予防になると示す臨床研究はありませんので、あまり気にする必要はなさそうです6)

 

【参考文献】

  1. Gomersall JC, et al. Interventions with pregnant women, new mothers and other primary caregivers for preventing early childhood caries. Cochrane Database Syst Rev. 2024 May 16;5(5):CD012155.
  2. Takahashi N, Nyvad B. The role of bacteria in the caries process: ecological perspectives. J Dent Res. 2011 Mar;90(3):294-303.
  3. The Alliance for a Cavity-Free Future. Four Key Priorities from ‘Early Childhood Caries: IAPD Bangkok Declaration’ to Reduce the Prevalence and Burden of ECC Worldwide October 9, 2019 https://www.acffglobal.org/four-key-priorities-from-early-childhood-caries-iapd-bangkok-declaration-to-reduce-the-prevalence-and-burden-of-ecc-worldwide/ (2024/12/08確認)
  4. 日本口腔衛生学会,日本小児歯科学会, 日本歯科保存学会, 日本老年歯科医学会.4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法【普及版】. 2023年4月13日 https://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/news/2023/news_230303.pdf (2024/12/08確認)
  5. WHO. Guideline for complementary feeding of infants and young children 6–23 months of age. World Health Organization. 2023.
  6. 日本口腔衛生学会. 乳幼児期における親との食器共有について. 2023年8月31日 https://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/statement/file/statement_20230901.pdf (2024/12/08確認)

 

【文責】山田翔 たけのやま歯科院長 (歯科医師)

【ピアレビューアー】
江田明日香
名西恵子

【完成年月日】2024年12月19日

【免責】この情報は医学的な診断や治療の代替となるものではありません。詳しくはかかりつけ医とご相談ください。