Q:私は混合で育てています。水道の水は安全なのでしょうか?粉ミルクの調乳にミネラル・ウオーターを使用してもよいでしょうか?
A:混合栄養などで粉ミルクを使用している場合、水に関しては「硬度」を考慮する必要があります。水に含まれるカルシウム塩とマグネシウム塩の量の指標(硬度)が一定水準より少ない場合を軟水、多い場合を硬水といいます。(資料15)
人工乳の調整に適切な水は、ナトリウム200mg/L未満、硫酸塩 250mg/L未満、硝酸塩50 mg/L 未満、窒素50 mg/L 未満が望ましいと言われています [Osborn K, Lyons M: Is bottled water really unsafe for making up infant formula? COMMUNITY PRACT 2010, 83:31-34.]
一般的に、日本で市販されているミネラル・ウオーターはほとんどが軟水(ミネラル分が少ない)で、調乳に使用しても問題ないものが多いようですが、「調乳に適さない」という表示のあるものは避けるようにしましょう。(資料15)
生後6か月前の赤ちゃんに、そのままミネラル水をあげたり、粉ミルクをイオン水や果汁などで調乳してあげたりすると下痢や電解質の異常(腎臓に負担がかかる)を起こして危険になる場合があります。また、深海水のペットボトルのラベルには、調乳には適さないとの表示が書いてあります。
なお、現在混合栄養で育てている方は、母乳の量を増やすこともできますし、母乳をやめた方も母乳再開することも可能です。母乳は吸わせれば吸わせるだけ量が増えていきます。頻繁に、しっかり赤ちゃんを乳房に吸い付かせると母乳を増やすのに効果的です。
Q:どうしてもその水道水以外に調乳用や調理用の水が手に入らない時はどうしたらいいですか?
A:ペットボトル入りの水が品薄となり、手に入らないとどうしたらいいのか心配なのですね。その水道水以外に調乳用や調理用の水が手に入らない時は、短期間の使用であれば安全です(資料9,10)。
なおヨウ素131の半減期は8日ですので、普段から調乳や調理用にペットボトル3-4本の水を数日間くみおきすることで、水道水が基準値を超えたときに備えることができるかもしれません。長期間の汲み置きは雑菌の繁殖の危険性があるので避けましょう。
Q:入浴や洗顔、調乳器具の消毒にその水を使っても大丈夫ですか?
A:たとえ摂取基準をこえたとしても、入浴、洗顔などの生活用水として水道水を利用しても問題ありません。粉ミルクを使っている場合、調乳に必要な器具(コップ、哺乳びんなど)の洗浄にこの水を使用することは差し支えありません(資料10)。
Q:煮沸したら乳児に使って安全なのでしょうか?
A:放射性物質が検出されている水について、煮沸しても放射性物質は減少しません。大人が飲んでもよい濃度の水であれば、離乳食の料理に短期間使うことはさしつかえないとされています(資料9,10)。
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