===== 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)情報 =====
2020年10月14日改定

CDC: 妊娠、母乳育児、新生児の育児、2020年9月11日改訂
CDC: Pregnancy, Breastfeeding, and Caring for Newborns
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/need-extra-precautions/pregnancy-breastfeeding.html

(部分的に紹介しています)
母親が新型コロナウイルス陽性の場合の新生児の育児
新型コロナウイルス陽性のお母さんから生まれた新生児のリスクについては 多くのことはわからないままです。 わかっていること:
  • 新型コロナウイルス感染症のお母さんから新生児への新型コロナウイルスの感染はあまりない
  • 出生直後に新型コロナウイルスの検査が陽性となった赤ちゃんもいるが、感染したのが、生まれる前か、分娩中か、出生に感染者と接触したことによるのかはわかっていない
  • 新型コロナウイルスの検査陽性となった新生児のほとんどは、症状が軽いか、無症状で、回復している。しかし新生児で重症の新型コロナウイルス感染症になった例も少数ながら報告されている
  • 早産(妊娠37週未満の出産)や妊娠・分娩中の異常といった感染症以外の問題が、妊娠中に新型コロナウイルス感染症の検査が陽性になった女性で、報告されています。これらの問題が新型コロナウイルスに関連しているかどうかはわかりません。
入院中お母さんと赤ちゃんが一緒にいるかどうかを決めましょう
出産後入院中の健康な正期産新生児の理想的な居場所は母親の部屋(母子同室)だということをCDCは認識しています。いまのところ、新生児がお母さんから新型コロナウイルスに感染するリスクは低いという証拠が示されています。マスクを着用し、手指衛生を実施するなど、新生児の世話の前後に適切な予防措置を行えば、特にリスクは低くなります。
お母さんが新型コロナウイルス感染症と診断されたか検査で陽性の場合、新生児と同じ部屋にいることのリスクと利点について医療者と話し合いましょう。可能であれば、この話し合いは産前に始めます。新生児と同じ部屋にいることは、母乳育児を始めやすくなりますし、お母さんと赤ちゃんのきずなも作りやすくなるという利点があります。新生児にウイルスを感染させてしまうというリスクはあり得ますが、現在のエビデンスでは、予防措置を行えば、お母さんから新生児に新型コロナウイルスが感染するリスクは低いこと示されています。新生児が入院中にお母さんと同じ部屋にいるかどうかは、相談の上、適切な情報に基づいて決めましょう。

お母さんが新型コロナウイルス感染症による隔離が必要で、新生児と同室する時の予防措置
お母さんが新型コロナウイルス感染症による隔離が必要で(isolation for COVID-19)、新生児と同室する時は、新生児への感染リスクを減らすために以下のような予防措置を取りましょう。
  • 新生児を抱いたり世話をしたりする前に、石けんと水で少なくとも20秒手を洗う。石けんと水が使えないときは、60%以上のアルコールを含む手指消毒剤で手を消毒する
  • 新生児と6フィート(訳注:約1.8m)以内にいるときはマスクをする
  • 出来る限り、赤ちゃんと6フィート(訳注:約1.8m)以上離れる
  • 病院にいる時には物理的な障壁(例えば、新生児を保育器に入れるなど)の利用を保健医療従事者と話し合う
隔離期間が終わっても( isolation period has ended,)新生児の世話をする前には手を洗いましょう。しかし、他の予防措置を続ける必要はありません。隔離期間が終われば、新生児や他の濃厚接触者にウイルスを感染させる可能性はほとんどありません。
  • お母さんに症状があった場合、次のような状況であれば、隔離期間は終わります。
    • 症状が始まってから10日たち、かつ
    • 解熱剤を使わなくても、24時間発熱がなく、かつ
    • 新型コロナウイルス感染症の他の症状が改善しているとき
  • 今までも今も症状がないときの、隔離期間終了の目安は
    • 新型コロナウイルス検査が陽性だった日から10日後

新型コロナウイルスによる隔離期間は、自宅でも予防措置をとりましょう
自宅に戻った時にも、お母さんがまだ新型コロナウイルスによる隔離期間中(isolation for COVID-19)ならば、隔離期間が終わるまで( isolation period has ended:)次の予防措置を取りましょう。
  • 家にいて、自宅外の人から自分を隔離する
  • 家の中に感染していない人がいる時には「家庭内での隔離( isolating from other household members)」を考慮する
  • 重症化するリスクが高く(increased risk for severe illness)ない人に、新生児の世話をしてもらう
    • 養育者は新生児に触れる前に少なくとも20秒手を洗う。石けんと水が使用できないときは、60%以上のアルコールを含む手指消毒剤を用いる
    • 養育者が同じ家に住んでいるか、お母さんと濃厚接触している場合、お母さんの隔離期間中および隔離期間終了後2週間は新生児から6フィート(訳注:約1.8m)以内にいるときには、マスクをする
  • 健康な養育者が見つからず、お母さんが十分元気なら、お母さんが新生児の世話をする。
    • 新生児を抱いたり世話をしたりする前に、石けんと水で少なくとも20秒手を洗う。石けんと水が使用できないときは、60%以上のアルコールを含む手指消毒剤を用いる
    • 隔離期間中は、新生児や他の人から6フィート(訳注:約1.8m)以内にいるときには、マスクをする。マスクは他の人にウイルスを広めるのを防ぐ
新型コロナウイルス陽性の、同居人や養育者は隔離(isolate)して、新生児の世話はできるだけ避けましょう。新生児の世話をする必要がある場合は、手指衛生を行い、マスクをしましょう。

赤ちゃんにフェイスシールドやマスクをしてはいけません
フェイスシールドは、乳児突然死症候群(SIDS)または偶発的な窒息や首が締まるリスクを高める可能性があります。赤ちゃんはよく動きます。赤ちゃんが動くと、プラスチック製のフェイスシールドが鼻や口を塞いだり、紐などで首が締まったりする原因となる可能性があります。
また、赤ちゃんにフェイスシールドを使うことで新型コロナウイルス感染症やその他の呼吸器疾患に対する予防になるということを支持するデータもありません。
CDCは、2歳以上のすべての人が公共の場や、家庭内に一緒に住んでいない人の近くにいる時にはマスクを着用するよう勧告しています。CDCは、妊娠中または授乳中の母親を含む一般市民にマスクの代わりにフェイスシールドを使用することは勧告していません。

乳児健診に連れて行きましょう
乳児健診は個別に行うのが理想です。健診では以下のことを確認します。
  • 保護者と赤ちゃんが元気かどうか
  • 赤ちゃんの成長と栄養
  • 赤ちゃんの黄疸(jaundice)
  • 赤ちゃんの新生児スクリーニング検査(血液検査、聴覚検査、重大な先天性心疾患の検査を含む)が行われたことを確認し、必要に応じて再検査や、フォローアップ検査を行う(訳注:米国では出産後すぐに退院するので、検査は退院後健診で行いますが、日本では新生児スクリーニング検査は産科施設入院中に行われるのが一般的です)
あなたや赤ちゃんが新型コロナウイルスに感染している場合は、受診する前に必ず電話してそのことを知らせましょう。

新型コロナウイルス感染症と母乳育児
今のところ、母乳を通じて赤ちゃんにウイルスが感染する可能性は低いという証拠が示されています
お母さんが、家族や主治医と一緒に、母乳育児( breastfeeding)を始めるかどうか、どのように始めるか、あるいはどのように続けるかどうかを決めます。 母乳は多くの病気に対する予防効果があり、ほとんどの赤ちゃんのへの最良の栄養です。新型コロナウイルス陽性のお母さんが、母乳を通じて赤ちゃんにウイルスを感染させるかどうかははっきりとは分かっていませんが、いまのところ、可能性は低いという証拠が示されています。

助けになる母乳育児のコツ
病院での新生児期の母子分離によって、母乳育児を始めたり続けたりするのが難しくなる人がいるかもしれません。助けになるコツをお示しします。
  • 頻繁に手や搾乳器(理想的には病院基準のもの)で搾乳すれば、母子分離の間も母乳の産生が確立するのを助ける
  • 特に最初の数日間、 2〜3時間毎(24時間に少なくとも8〜10回、夜間も含む)の搾乳は乳汁産生への合図となり乳管閉塞や乳腺炎を防ぐ
  • 入院中に乳汁産生が確立できなかったり、自分の具合が悪くて一時的に母乳育児を中断しなくてはならなかったりしたお母さんは、母乳育児支援者に援助してもらうことにより母乳復帰(リラクテーション) ができるかもしれません。 母乳復帰についての追加情報はこちら relactation.
  • 新型コロナウイルスに感染していなくても、授乳や搾乳の前にはいつも石けんと水で少なくとも20秒手を洗う。 石けんと水が使用できないときは、60%以上のアルコールを含む手指消毒剤を用いる
新型コロナウイルスに感染していて直接授乳を選んだお母さんへ
  • あらかじめ手を洗う
  • 直接授乳中はマスクをする
新型コロナウイルスに感染していて搾乳を選んだお母さんへ
  • 専用の搾乳器を使う(共用しない)
  • 搾乳中はマスクをつけ、搾乳機やボトルの部品に触れる前や搾乳前には少なくとも20秒石けんと水で手を洗う wash your hands
  • 毎回使用後には「搾乳機の適切な洗浄についての勧告」recommendations for proper pump cleaningに従って母乳に接触した部品すべてを洗浄する
  • 新型コロナウイルスに感染しておらず、新型コロナウイルス感染症のハイリスク increased risk for severe illness でない同居人に搾母乳を赤ちゃんに与えてもらうことを考慮する。お赤さんの隔離期間中isolationおよびお母さんの隔離終了後 completed isolation2週間、赤ちゃんに栄養を与える養育者は皆、赤ちゃんの世話をしている間中ずっと、マスクをつける

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米国小児科学会:
COVID-19が疑われるあるいは確定した母親から生まれた児の取り扱いに関するFAQ 2020年9月10日改訂
AAP FAQs: Management of Infants Born to Mothers with Suspected or Confirmed COVID-19
https://services.aap.org/en/pages/2019-novel-coronavirus-covid-19-infections/clinical-guidance/faqs-management-of-infants-born-to-covid-19-mothers/

現在知られている限定的な証拠に基づいて、以下の「よくある質問」は、COVID-19が疑われるあるいは確定した母親から生まれた児の管理のための初期の手引きを提供する。

このアップデートで何が新しくなったのか?

最初のAAP新生児ガイダンスは、2020年4月2日に出された。世界的なパンデミックの始まった頃で、SARS-CoV-2は非常に伝染力が強く、感染した人が重篤になる率や死亡率が高くなる可能性が明らかになった時期であった。それ以来、公開されたエビデンスおよび「周産期COVID-19感染のサーベイランスと疫学のための国内登録」に提供されたデータにより、周産期疾患のリスクについて、さらなる情報がわかってきた。その結果、ガイダンスの改訂が行われ、最新版は2020年7月22日だった。2020年9月9日に掲載された今回の更新では、病院職員向けの感染防止対策に関するガイダンスや、新生児とその家族の管理に関するガイダンスはほとんど変わっていない。「周産期COVID-19登録」の統計を更新し、母乳中のSARS-CoV-2に関する最近の公表されたエビデンスも加えた。新生児の管理については、さらなるエビデンスが得られるにつれて、このガイダンスに改訂が加えられることを期待している。

COVID-19の新生児に対するリスクについて現在何がわかっているのか?

出産時にCOVID-19陽性の母親から生まれた新生児が、生後数時間または数日でSARS-CoV-2に陽性反応を示すリスクは、発表された症例報告と、現在までに「周産期COVID-19登録」に報告された3,000例以上の両方から報告されている。現在のデータは、出産時間近くにSARS-CoV-2の検査陽性だった女性から生まれた児の約2%が、出生後最初の24~96時間に陽性反応を示したことを示している。AAP登録に報告された新生児のうち、退院後自宅で発症した例があったかどうかはまだ不明である。これまでに発表された小児のCOVID-19症例はごくわずかであるが、臨床家や家族は、重症のCOVID-19感染のために生後1か月以前に入院を必要とした乳児の報告が公表されていることを知っておく必要がある。

(中略)

臍帯結紮を遅らせることと肌と肌との触れ合いのケアの実践を続けるべきか?

臍帯結紮を遅らせることの実践と分娩室での肌と肌との触れ合いのケアは、施設の通常の実践に従って継続する。COVID-19の母親は、児を抱く時にはマスクを着用する。
(訳注 日本では臍帯結紮を遅らせることは推奨されていない)

母親と状態のよい新生児は同室できるか? (以下部分今回追加訂正)

最初のAAPガイダンスでは、新生児が感染するのを防ぐための最も安全な手段として、感染した母親から新生児を一時的に隔離することを推奨した。周産期および出産後の新生児感染のリスクが不明だったため、この慎重なガイダンスが提供された。パンデミックの初期には、入手可能な唯一のデータは中国からのものであり、中国では普遍的なアプローチは感染した母親からすべての新生児を即座に分離して、14日間隔離することだった。
SARS-CoV-2の検査で陽性となった母親から生まれた新生児に関する数ヶ月にわたる国内および国際的な経験の後、SARS-CoV-2感染の直接的な結果として、出生時の分娩施設入院中に死亡した新生児の報告はなかった。周産期COVID-19の国内登録にある3000を超える母子の中で、新生児がSARS-CoV-2のPCR検査で陽性となる割合は、母親から分離されている新生児と、感染予防対策を行いつつ母親と同室している新生児で同じであった。今では家族に対して、母親の感染性呼吸器分泌物から新生児を保護するための予防策を講じれば、分娩施設入院中に新生児が感染するリスクは低いことを示唆する証拠があると知らせることができる。このリスクは、感染防止対策を実施しながら母親と新生児が同室していても、新生児が母親と離れた別の部屋にいて物理的距離を取った場合と比べて大きくないと思われる。COVID-19で重症の母親は、安全な方法で新生児のケアができない場合がある。そのような場合には、母親と新生児を一時的に分離するか、または母親の部屋で感染していない養育者が新生児のケアをすることが適切かもしれない。

現在、AAPはCOVID-19が確認されているか疑われる母親と状態のよい新生児のケアについて、次のことを推奨する。
  • 母親と新生児は、施設の通常の実践に従って同室することができる。
  • 分娩施設入院中には、母親は可能な限り新生児から適切な距離を保つ必要がある。母親が新生児に触れるケアを行う場合には、マスクを着用して手指衛生を行う必要がある。閉鎖式保育器を使用すれば距離を置くことができ、児を呼吸器の飛沫から保護する手段を講じることができる。閉鎖式保育器を使用する場合は、新生児の転落を防ぐために保育器の窓を正しくロックするよう注意する必要がある。
  • 医療従事者は、健康な新生児をケアする場合は、ガウン、手袋、サージカルマスク、および眼の保護具(フェイスシールドまたはゴーグル)を使用する必要がある。このケアがCOVID-19の母親がいる部屋で行われる場合、医療従事者は、可能ならば、サージカルマスクの代わりにN95マスクを使用することを選択できる。
  • 分娩施設入院中、感染していないパートナーや他の家族がいる場合は、新生児に触れるケアを行う場合には、マスクと手指衛生を行う必要がある。
新生児に直接授乳することはできるか?

AAPは、乳児栄養の最も優れた選択肢として母乳育児を強く支援している。いくつかの発表された研究では、母乳からSARS-CoV-2の核酸が検出されている。しかしながら、現在のところ生存能力のある感染性ウイルスは母乳中から検出されていない。ある研究では、低温殺菌法(ドナー母乳の調製に使用されるものなど)がSARS-CoV-2を不活性化することが実証された。防御抗体が母乳にあるかどうかはまだ確定的ではない。これらの知見や不確実性を考えると、現時点では直接授乳は禁忌ではない。
  • 母親は直接授乳前に手指衛生を行い、授乳中はマスクを着用する必要がある。
  • 感染した母親が新生児に直接授乳しないことを選択した場合、適切な手指衛生後に搾乳し、これを感染していない他の養育者が新生児に与えることができる。
  • NICUに入院中の児の母親は、自分自身の感染状態によってNICUへの出入りが禁止されている場合でも、いつでも子どものために搾乳できる。施設は、母親がNICUに入ることができるようになるまでは、母親からこの母乳を受け取るように手配する必要がある。
     (後略)

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UNICEF:
新型コロナウイルスパンデミック下での母乳育児、2020年9月8日改訂
CDC: Breastfeeding safely during the COVID-19 pandemic
https://www.unicef.org/coronavirus/breastfeeding-safely-during-covid-19-pandemic

専門家による現在の指針に基づいて子どもに栄養を与える方法

新型コロナウイルスのパンデミック中、あなたがすでにお母さんだったり妊娠中だったりするなら、赤ちゃんに最も安全なものについて質問があるのは当たり前です。
母乳育児を支持する圧倒的な証拠があります。肌と肌との触れ合いと早期から母乳だけで育てることは、赤ちゃんがすくすく育つのに役立ちます。そして、このウイルスのために母乳育児を中止する理由はありません。今のところ、母乳や母乳育児を通しての活動性のある新型コロナウイルス(感染を引き起こす可能性のあるウイルス)の伝播は発見されていません。
出産間近なら、安全に母乳を与え、赤ちゃんと肌と肌との触れ合いをし、赤ちゃんと部屋を共有するための支援を得ましょう。
ここでは、自分が健康と感じていても、新型コロナウイルス感染症の徴候や症状を経験していても、あなたと赤ちゃんに最も安全な経験を提供するために、出産して間もないお母さんと妊娠中の女性からの一般的な質問に対するいくつかの答えをお示しします。

パンデミック中でも、母乳を与えるべきですか?

もちろんです。母乳は赤ちゃんに、健康を高め多くの感染症から赤ちゃんを保護する抗体をどこでも提供します。母乳中の抗体や生理活性因子(訳注:母乳や血液に含まれるホルモンやインターフェロンなど)は、赤ちゃんが新型コロナウイルスにさらされた場合、そのウイルス感染に対抗してくれる可能性があります。
赤ちゃんが生後6か月未満の場合は、母乳だけで育てましょう。あなたの赤ちゃんが生後6カ月を過ぎたら、安全で健康的な補完食を与えながら、授乳を続けましょう。
>>Read our feeding tips for 6 – 12 months old babies

母乳育児を通じて赤ちゃんに新型コロナウイルスはうつりますか?

今までに、母乳や母乳育児を通じた活動性のある新型コロナウイルス(感染を引き起こすウイルス)の伝播は見つかっていませんが、研究者は母乳の検査を続けています。
生まれたての赤ちゃんと肌と肌との触れ合いをしましょう。新生児があなたの近くにいることは、母乳育児の早期開始を可能にし、そのことは新生児の死亡を減らします。タイミングがすべてであり、出産後最初の1時間以内に母乳育児を開始することが勧められています。
>>母乳育児に関するミニ子育てマスタークラスを見る

自分が新型コロナウイルスに感染している、もしくは疑わしい時、母乳を与えるべきですか?

はい、適切な予防措置を行い、母乳育児を続けてください。これには、可能な場合はマスクを着用すること、赤ちゃんに触れる前後に石けんと水で手を洗うか手をアルコール消毒する、定期的に自分が触れた表面をきれいにして消毒することなどです。乳房を洗うのは、乳房の上に咳をした直後だけです。それ以外の場合は、すべての授乳の前に乳房を洗う必要はありません。
>> How to best wash your hands to protect against COVID-19

体調がよくなくて、直接授乳できないときはどうすればいいですか?

直接授乳するには体調が悪すぎると自分で感じる時は、安全に搾母乳を子どもに与える他の方法を見つけてみましょう。母乳を搾って清潔なカップやスプーンで、子どもに与えることを試してみてください。また、お住いの地域で利用可能な場合は、ドナー母乳を検討することができます。母乳育児支援者や保健医療従事者に、利用可能な選択肢について相談してみてください。
搾乳することは、母乳の産生を維持するためにも重要であり、直接授乳できるくらい元気になったと感じたら再開することができます。新型コロナウイルス感染が確認または疑われた後、どのくらい授乳を待たなければならないかの、決まった期間はありません。(訳注:一つ前のQAを参照)
ドナー母乳や搾母乳が使えない場合は、文化的に受け入れられる場合は乳母(貰い乳)にたのむこと、もしくは、適切に準備され、安全で容易に入手できる場合は、乳児用人工乳の使用を検討しましょう。

子どもが病気の場合、私は母乳を与えるべきですか?

子どもが病気になった場合も、母乳を与え続けましょう。あなたの子どもが新型コロナウイルス感染症でも別の病気でも、母乳で栄養を与え続けることは重要です。母乳育児はあなたの赤ちゃんの免疫系を高め、あなたの抗体は母乳を通じて子どもに移行し、感染症と戦うのを助けます。

授乳の時には、どのような予防措置を取ればいいですか?

必ず手洗いのガイドラインに従ってください。赤ちゃんに触れる前後に石けんと水で手を洗う必要があります。アルコール手指消毒剤も使用できます。あなたが触れた表面をきれいにして消毒することも重要です。
いつものように、搾乳器のポンプや搾った母乳を入れる容器、授乳器具は、使用毎に洗いましょう。

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WHO:
Q&A、妊娠・出産と新型コロナウイルス感染症 2020年9月2日
Q&A: Pregnancy, childbirth and COVID-19
https://www.who.int/news-room/q-a-detail/q-a-on-covid-19-pregnancy-childbirth-and-breastfeeding

(全文)
Q. 新型コロナウイルスはお母さんからお腹の中の赤ちゃんや生まれてきた赤ちゃんに感染しますか?
新型コロナウイルスに感染した妊娠中の女性が妊娠中や出産中に胎児や赤ちゃんにウイルスを感染するかどうかはまだ分かっていません。現在までに、感染力のあるウイルスは、子宮中の羊水や母乳の検体からは発見されていません。

Q. 妊娠中や出産の際に、どのようなケアを受けるべきでしょうか?
新型コロナウイルスの感染が確認されたか疑わしいすべての妊娠中の女性とその新生児は、出産前、出産中および出産後にメンタルヘルスも含めた質の高いケアを受ける権利を有します。安全でポジティブな出産体験とは以下のようなものです。
  • 敬意と尊厳をもって扱われる
  • 出産の間に寄り添う人を選択できる
  • 産科スタッフからの明確なコミュニケーション
  • 適切な疼痛緩和法
  • 可能な限り陣痛中に自由に動けること、および分娩体位を選べること
新型コロナウイルスの感染が確認されたか疑わしい場合、保健医療従事者は、自分自身や他の人への感染のリスクを減らすために、手指衛生や手袋、ガウン、医療用マスクなどの防護服の使用など、すべての適切な予防措置を講じる必要があります。

Q. 新型コロナウイルスの疑いがあるか確認された妊娠中の女性は帝王切開で出産する必要がありますか?
いいえ。WHOは帝王切開は医学的に正当な理由がある場合にのみ行われるべきであると助言しています。
分娩様式は、産科適応並びに女性の希望に基づいて個別化する必要があります。

Q. 新型コロナウイルスに感染している場合、生まれたばかりの赤ちゃんに触れて抱くことができますか?
はい。密接な接触と早期に母乳だけを飲ませることは、赤ちゃんの生存を助けます。
次のような支援が必要です。
  • 飛沫感染に十分に注意して安全に授乳できるように
  • 赤ちゃんと肌と肌を触れ合って抱く
  • 赤ちゃんと同室
赤ちゃんに触る前と後に手を洗い、すべての表面を清潔に保つ必要があります。新型コロナウイルス感染症の症状があるお母さんは、赤ちゃんに触れるときはいつでも医療用マスクを着用することをお勧めします。

訳注:WHO一般向けQ&Aは当初 COVID-19, pregnancy, childbirth and breastfeeding(2020年3月18日)でした。今回の改定内容はPregnancy, childbirth and COVID-19でBreastfeedingは別になっています。Q&A: Breastfeeding and COVID-19は5月7日版を参照ください。

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日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応 第5版 2020年9月2日
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20200903_COVID-19.pdf

(分娩方法、母子の隔離、授乳の部分のみを紹介)
現時点で COVID-19 感染のみで帝王切開の適応にすべきとする根拠はありま せん。しかし、施設の感染対策に割くことができる医療資源、肺炎など妊婦さんの全身状態に鑑みて、分娩管理時間の短縮を目的とした帝王切開を考慮してください。もちろん経腟分娩の方が早い場合もありますので、妊婦さんと医療スタッ フの安心安全を第一にご判断ください。母乳にウイルスが含まれるという報告もありますので、新生児は完全な人工栄養とし、母児双方ともPCR でウイルスが陰性となるまで母体との接触は避けてください。感染が否定できない場合は個室でクベース収容を行ってください。児の管理は新生児科と十分な連携を取ってください。

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米国産婦人科学会:実践的勧告 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 2020年8月12日改定
ACOG: General Information Regarding Pregnant Individuals and COVID-19
https://www.acog.org/clinical/clinical-guidance/practice-advisory/articles/2020/03/novel-coronavirus-2019

(部分訳)
母子の滞在場所
母親と新生児の早期の密接な母子接触には、十分に確立された多くの利点がある。それは、母乳育児の成功、母子のきずなの形成を容易にすること、家族中心のケア(family-centered care)を推進することなどである。このトピックにおいて得られるエビデンスを考慮し、母親がSARS-CoV-2感染が疑わしいか確認された場合も、施設の通常の方針に沿って、母子は理想的には同室すべきである。新しいデータが今も次々と出てきており、長期効果もまだ完全にはわかっていないが、これまでのデータによると、新生児へのSARS-CoV-2感染リスクは、母子分離と母子同室で変わらないと示唆されている。(CDC)
SARS-CoV-2 感染が確認されたか疑わしい母親と新生児が、出産後同室するか別室にするかの決定は、どちらにせよ、出産した母親、その家族、および医療チームの協働意思決定(シェアード・ディシジョン・メイキング)の過程を含めることが重要である。この問題は出産前ケアの時期から始まり分娩が終わるまで続けて提起されるべきである。医療者は医学的な意思決定の過程で母親の自主性を尊重するべきである。母子同室や母子分離をめぐる意思決定にはいかなる強制もされるべきでなく、産科施設は情報を得た上での個人の決定を守るという方針を行うべきである。
COVID-19が疑われる、もしくは確認された母親は、同室の場合、以下のような感染リスクを最小限にする安全方策( safety measures to minimize the risk of transmission)を用いる。
  • 母親は、新生児との全ての接触においてマスクや顔を覆う布を用い、手指衛生hand hygieneを行う。マスクや顔を覆う布は新生児や2歳未満の幼児には用いない。
  • 物理的な障壁(児を温度管理された閉鎖式保育器に収容するなど)といった工学的な管理を利用し、新生児をできるだけ頻繁に6フィート(訳注:約1.8m)以上離す。
  • 可能ならば、医療従事者でない養育者に入院中の新生児のケアを依頼する。重症化リスクのない者で、適切な予防措置(マスク着用、手指衛生の実践など)を講じる。
母子同室ができるようにすることは母乳育児を奨励し支援するための鍵であるが、一時的な母子分離が母親と新生児の健康にとって適切であるような、COVID-19やその他に関連する状況があるかもしれない。一時的な母子分離の決定は、母親の希望に沿って行われるべきである。
一時的な母子分離を考慮している母親とカウンセリングする際の検討事項
  • 「隔離と予防措置の中止 discontinuing isolation and precautions」の基準を満たしていれば、SARS-CoV-2感染が疑わしいか確認された母親も、新生児にウイルスを感染させる潜在的なリスクはない。
    • 最初の症状が出現してから少なくとも10日間(臨床的に重症であるか、重度の免疫不全の場合は20日間)経過していて、かつ
    • 解熱剤を服用せずに、最後の発熱から少なくとも24時間経過しており、かつ
    • 他の症状が軽快している
  • 「成人の隔離と予防措置の期間these criteria 」の基準を満たさない母親が、新生児へのウイルス感染のリスクを減らそうと、一時的な母子分離を選ぶかもしれない。しかしながら、基準を満たすまでの新生児との母子分離を退院後も続けることができないのなら、退院後の母親からのウイルス暴露の可能性を考えると、入院中の一時的な母子分離が、新生児へのSARS-CoV-2感染を最終的に防ぐことができるのかは確かではない。
  • 母親が児のケアをするには重症すぎたり、より高度なケアが必要であったりする場合には、母子分離が必要になるかもしれない。
  • 新生児に重症疾患(早産児、医学的な基礎疾患のある児、より高度なケアを必要とする児など)のリスクがある場合は、母子分離が必要になるかもしれない。
  • 新生児の検査結果がSARS-CoV-2陽性であった場合は、SARS-CoV-2感染が疑わしいか確認された母親から新生児へのウイルス感染のリスクを減らす方策としての母子分離の考慮は不要である。
一時的な母子分離がなされ、母親に母乳育児の希望があれば、母乳分泌の確立と維持のために搾乳の支援と奨励を行う。可能であれば、専用の搾乳器を提供する。

母乳による乳児栄養
母乳は多くの疾病に対する防御因子を提供し、母乳育児の禁忌はほとんどない。(Committee Opinion 756, CDC's Pregnancy and Breastfeeding). COVID-19が母乳を通して感染するかどうか、あるいは、ウイルスの破片が移行した場合感染性があるのかはわかっていない。最近の症例報告でSARS-CoV-2 RNAが母乳中に検出されたが(Lancet Groß 2020)、その報告の主要なデータでは、母乳中のSARS-CoV-2のウイルスの存在は示されていない。つまり、COVID-19感染が疑わしいか確認された母親は、現時点では、母乳を児に与えることが禁忌であるとはみなされない。

しかしながら、COVID-19が疑わしいか確認された母親は、直接授乳中など児と密接に接触する間に飛沫を通じてウイルスを感染させる可能性がある。このため、産婦人科医や母親に関わる他の医師は、母乳で子どもを育てる希望があるCOVID-19が疑わしいか確認された母親に以下のように感染リスクを最低限にする方法をカウンセリングする。
  • 搾乳には手動や電動の搾乳器を用いる。搾乳器や部品に触れる前の適切な手指衛生の重要性と、使用毎に搾乳器の適切な洗浄に関する勧告に従うこと。可能であれば、COVID-19の感染が疑わしくも確認されてもいない健康な人に搾母乳を児に与えてもらうことを考慮する。加えて、施設が専用の搾乳器を貸与できるかどうかを話し合う。
  • 安全に直接授乳する方法。児への直接授乳を希望するCOVID-19が疑わしいか確認された母親は、ウイルスの児への感染を避けるため、直接授乳中、手指衛生、マスクか顔を覆う布などの可能な限りの予防措置を全て行う。
COVID-19パンデミック下においても、産婦人科医や母親に関わる他の医師はそれぞれの女性の、母乳育児を始めるかどうか続けるかどうかに対する、情報を与えられた上での決定を支援し、その女性が、栄養法が母乳だけか、混合か、人工乳かのどれが自分と自分の子どもに最適かを決定する資格のある唯一の人間であることを認識する必要がある。(Committee Opinion 756).
米国産婦人科学会はこのトピックにおける新たな文献の検討を続けている。

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米国産婦人科学会:一般向けQ&A 2020年8月12日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)妊娠と母乳育児:お母さんへのメッセージ
ACOG: Coronavirus (COVID-19), Pregnancy, and Breastfeeding: A Message for Patients
https://www.acog.org/patient-resources/faqs/pregnancy/coronavirus-pregnancy-and-breastfeeding

自分が新型コロナウイルス感染症だったら、赤ちゃんは産後どこにいることになるのでしょう?

あなたが新型コロナウイルス感染症だったとしても、出産後にあなたと赤ちゃんが一緒の部屋にいることには、たくさんの利点があります。例えば、一緒の部屋にいると、あなたと赤ちゃんのきずなが作りやすくなりますし、母乳育児を希望するときには、始めやすくなります。
新生児室といった、病院の他の場所で赤ちゃんを預かってもらうという選択もできます。しかし、現時点での報告は、赤ちゃんがお母さんと一緒の部屋にいても、別の部屋にいても新型コロナウイルス感染症の感染リスクは変わらないことを示しています。(「どうしたら赤ちゃんに新型コロナウイルス感染症がうつるのを避けられますか?」を参照ください。)同室の時は、赤ちゃんのコットは、少なくとも6フィート(訳注:1.8m)あなたから離しましょう。施設によっては、透明なプラスチックでできた閉鎖式保育器を用いて、温度を一定に保つようにすることがあります。
母子別室は、あなたの病気がとても重いか、赤ちゃんが重症になりやすいリスクが高い時に勧められるかもしれません。母子別室を選択して母乳をあげたい時は、搾乳するための搾乳器を頼むこともできます。病気でない方に、赤ちゃんに搾母乳をあげてもらってもいいですね。搾乳は、直接授乳を始めるまで、母乳分泌を維持するにも役立ちます。
予定日までに、病院や出産センターの医療チームと選択肢について相談してみましょう。自分と赤ちゃんに良いと思っていることを、一緒に話し合うことができます。以下の点について最善の方法が取れるように、話し合っておきましょう。
  • 赤ちゃんの感染リスクを下げる
  • あなたと赤ちゃんの長期的な健康を支援する
  • 母乳育児を希望する場合は、その開始の助けになる
新型コロナウイルスは母乳を通して感染しますか?

研究者は新型コロナウイルスはが母乳に移行するのか、そして赤ちゃんに感染するのかについて、現在研究中です。ほとんどの情報は、あなたが新型コロナウイルス感染症であっても、赤ちゃんに母乳をあげるのは安全だと示しています。ほとんどの赤ちゃんにとって、母乳は最良の栄養であることを忘れないでください。母乳はまた、耳、肺、消化器などの感染から赤ちゃんを守ります。これらの理由により、新型コロナウイルス感染症であっても、母乳を赤ちゃんにあげるのをやめなくてもいいのです。
母乳育児を計画しているなら、かかりつけの産婦人科医か他の医療専門家と話してみましょう。赤ちゃんと家に帰る前に搾乳や直接授乳を始めることができるように、あなたの希望を知らせましょう。

どうしたら赤ちゃんに新型コロナウイルス感染症がうつるのを避けられますか?
病院や出産センターにいる間や家に帰った後、次のような手順に従うと、赤ちゃんに感染することが避けられます。
  • お母さんはマスクや顔を覆うものを、授乳中など赤ちゃんを抱く時に使いましょう。赤ちゃんにはマスクや顔を覆うものは使ってはいけません。
  • 赤ちゃんに触れる前には手を洗いましょう。(the CDC’s handwashing tips.参照)
  • 搾乳器やボトルに触れる前には手を洗い、使用後は搾乳器やボトルなど全ての部品を洗浄しましょう。( the CDC’s advice for cleaning a breast pump.参照)
  • 可能ならば、健康な人に赤ちゃんの世話を手伝ってもらいましょう。搾乳のあとに、その人に搾母乳を飲ませてもらうこともできるでしょう。マスクを着用してもらい、手の清潔を保ってもらいましょう。新型コロナウイルス感染症が重症化するリスクのない人がいいでしょう。

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オーストラリア・ニュージーランド王立産婦人科学会:
妊娠中の女性と家族の方へ 2020年8月6日改訂
The Royal Australian and New Zealand College of Obstetricians and Gynaecologists:
A message for pregnant women and their families
https://ranzcog.edu.au/statements-guidelines/covid-19-statement/information-for-pregnant-women

(母乳育児部分のみ翻訳)
9. 新型コロナウイルス感染症と診断されても、母乳育児をすることができますか?
赤ちゃんに母乳育児を希望する方は、母乳で育てられるように支援と励ましを受けましょう。よく知られている母乳育児の利点は、新型コロナウイルス感染症の経母乳感染の潜在的なリスクを上回ります。お母さんが新型コロナウイルス感染症である場合も、画一的に赤ちゃんと離されるべきではありませんが、さらなる衛生対策を行いましょう。

赤ちゃんの栄養方法が何であれ(母乳育児、搾母乳、人工栄養)、以下の予防策が推奨されます。
  • 赤ちゃん、搾乳器、哺乳びんに触れる前の手洗い
  • 赤ちゃんに授乳したり抱いたりするときのマスク着用
  • 搾乳器や哺乳びんのガイドラインに従った洗浄・滅菌

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日本小児科学会:
新型コロナウイルス感染症に関するQ&Aについて、2020年8月1日
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=326

(母乳育児の部分のみを紹介)
Q4.母乳はやめておいた方がいいですか?
母親が感染している場合は、接触や咳を介して子どもに感染させるリスクがあります。母乳中からウイルス遺伝子が検出されたという報告はありますが、感染性のあるウイルスが母乳に分泌されるかどうかも不明であり、母乳の利点を考えれば母乳をやめておいた方がよいということはありません。母親の病状や希望により以下の3つの方法が考えられます。①授乳前の確実な手洗いと消毒、マスクを着用して直接授乳、②確実な手洗い、消毒後に搾乳をし、感染していない介護者による授乳、③(母乳の利点を説明した上で)人工栄養を選択する場合は人工乳を授乳。

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米国小児科学会:
SARS-Co V-2感染疑い、または確認された、母親や乳児の退院後の母乳育児の手引き 2020年7月29日改訂
AAP: Breastfeeding Guidance Post Hospital Discharge for Mothers or Infants with Suspected or Confirmed SARS-Co V-2 Infection
https://services.aap.org/en/pages/2019-novel-coronavirus-covid-19-infections/clinical-guidance/breastfeeding-guidance-post-hospital-discharge/

この手引きは、産科施設を退院した新生児と家族の母乳育児を直接ケアする小児科医を支援するために作成された。生後数週間における母乳育児の困難は、母乳育児期間の減少に関連している(特に乳頭痛/吸着困難、分泌不全、薬に関する懸念)。COVID-19を発症した母親は、出産後に母子分離されたり、母乳育児に影響を与える他の事象を経験したりした可能性がある。米国小児科学会(AAP)は、乳児栄養の最良の選択肢として母乳育児を強く支援している。母乳中にSARS-CoV-2の核酸を検出したという複数の研究が公表されている。生存可能で感染性のあるウイルスが母乳中に存在するかどうか、また、母乳中に防御抗体が含まれているかどうかはまだ分かっていない。母乳育児の短期的および長期的な利点が確立したものであることに照らして、医師は母乳育児を提唱し、奨励する必要がある。退院後の手引きと教育は、家族を支援し、母親と児の健康を保証し、母親が母乳育児の目標を達成できるようにするために不可欠である。

よくある質問

1. COVID-19疑い、または確認された家族の母乳育児を推進し、支援し続けることはなぜ重要なのか

母乳育児は乳児を感染から守る。母乳は、天然の生理活性因子、抗体、および標的免疫伝達物質を有する。SARS-CoV-2感染への効果は現在知られていないが、母乳で育てられた児は他のウイルス感染を発症する可能性が低い。母子の他の健康上の利点に加えて、母乳育児中のオキシトシンの放出は、母親の健康を促進し、ストレスや不安を和らげる。母乳育児はまた、持続可能であり、乳児用人工乳、哺乳びん、その他の授乳用品の不足の可能性のある時期に特に重要である。パンデミック中に母乳を通じて与えられる保護を最大化するために、卒乳の延期と母乳育児の期間の延長を検討するように家族にカウンセリングする。

2. 母親や乳児がCOVID-19に感染している場合の母乳育児の支援方法

あらゆる努力を払って、乳児のすべての養育者に感染予防教育を提供する。これには、書面による教育だけでなく、電話やバーチャルデバイスを用いた直接対話による教育も含まれる。適応があれば通訳サービスを使用する家庭内で行うのは難しいかもしれないが、COVID-19の陽性反応を示す母親は、可能な限り乳児から適度な距離を維持し、以下の基準を満たすまで乳児の世話を直接する際にマスクと手指衛生をする必要がある。
  1. 解熱薬を使用せずに24時間平熱が続く、かつ
  2. 症状が最初に現れてから少なくとも10日経過(または産科スクリーニング検査によってのみ同定された無症候性女性の場合、陽性検査結果から少なくとも10日が経過した)、かつ
  3. 症状が改善
  • 母親が直接授乳を希望する場合
    児を触る前の石けんと水での適切な手洗いを奨励し、授乳中にマスクを着用するように母親に助言する。児を肌と肌で触れ合って抱くことは、乳児の吸啜とホルモン応答を促し射乳引き起こす。授乳しない時は、乳児は健康な養育者が世話をすることもできる。可能であれば、別の部屋で過ごすか、母親から少なくとも6フィート(訳注:約1.8m)離れた所で過ごす。母親が非感染性であることの時間と症状に基づく基準を満たしたら、これらの予防措置は中止することができる。
  • 母親が搾乳を希望する場合
    搾乳に先立ち、母親はマスクを着用し、手だけでなく、搾乳器の部品、ボトル、人工乳首を徹底的に洗浄する必要がある。効率的な電動ダブルポンプを使用することで、最適な乳汁分泌が促進される。母親は乳児の授乳回数と同様に頻繁に搾乳するか、24時間あたり少なくとも6〜8回搾乳する必要がある。母親は、乳汁の流れ、乳房を空にする、乳汁中のカロリー含有量の改善のため、器械での搾乳と同時に自分の手を使って乳房マッサージ/乳房圧迫を行うこともできる。搾母乳は健康な養育者により児に与えることができる。母親が元気になった時に直接授乳を再導入するために母親に支援を提供する必要がある。
    産後の最初の数週間で母乳の供給が確立されるので、この時期は母乳産生を支援するための重要な時期である。家族は、母親の母乳が自分の子にとって安全で重要であることを保証するべきである。
  • 母親が生後数週間母乳を与えないことを選んだ場合
    産後の最初の週に、この選択を再考する可能性があるかどうかを家族に尋ねることを検討し、この最も脆弱な時期に感染症やその他の病気から保護する上での母乳育児と搾母乳の重要性について話し合う。
3. パンデミック中の、母乳育児の臨床管理のための遠隔医療などの重要な考慮事項
  • 特に、新生児が分娩施設から早期に退院した場合は、24~48時間以内の対面での診察が望ましい。 ウイルス暴露を減らすため、待合室の使用は避ける。新生児を朝一番に診たり、健診や予防接種用と病気の子ども用の別々の入り口を使用したり、到着時にすぐに入室してもらって診察したり、予約時間まで車の中で待ってもらうなどの対策を実施する。
  • 最適な母乳育児支援のゴールドスタンダードは、出産病院退院後1~2日以内の診察で、診察、体重チェック、吸い方と飲み方の直接観察を行う。(訳注 米国の出産入院期間は一般に出産後から48時間以内)その新生児を包括的にケアするシステムの中で、新生児外来診療の一部として母乳育児支援を提供することは重要である。新生児外来受診の中で、母乳育児の専門家(訳注:国際認定ラクテーション・コンサルタントなど)とバーチャルに繋がるためには、事前の計画が必要である。
  • 追加の母乳育児支援が必要な場合は、遠隔医療または電話での提供を検討する。ビデオ通話を使用して対面接続を提供すると、支援が強化できる可能性がある。授乳支援のための遠隔医療診察では、直接授乳の吸着の評価、乳汁移行の観察、児の体重チェック(親が食品秤、郵便秤、または乳児体重計が利用できる場合)、児の便の量や色の評価、乳首の痛み、母親の薬に関する助言などが含まれる。遠隔医療診察中、赤ちゃん人形、乳房模型、乳房の図の使用は有益である。保健医療専門家のトリアージや助言に心配があれば、いつでもその乳児は緊急に対面での評価をするために受診するべきである。哺乳不良や哺乳行動の変化は重篤な疾患の症状の可能性がある。コーディングと遠隔医療の問題に関する手引きについては、これらの文書を参照: Breastfeeding and Lactation Coding Factsheet and Coding for COVID-19 and Non-Direct Care.
  • 家族のために地域の他の授乳支援を調査する。家庭訪問の選択肢を検討する。多くの地域に母乳育児ホットラインがあり、現在利用可能な支援の更新されたリソースガイドがあるので、バーチャルと対面の両方で地域と州のlocal breastfeeding coalitionsAAP Chapter Breastfeeding Coordinator を確認すること -。
専門家のリソース
  1. AAP Breastfeeding Resources
  2. Centers for Disease Control and Prevention Breastfeeding Guidance
  3. Infant Feeding in Disasters and Emergencies: Breastfeeding and Other Options(also available in Spanish) 
地域のリソース
小児科医は、自分の地域のリソースを知って、パンデミック中にどのようなサービスを提供しているかを学ぶために接触しておく必要がある。
  1. La Leche League International (LLLI) – 1-877-4-LALECHE (1-877-452-5324) (messages will be returned by an LLL Leader in 24-48 hours).
  2. Office of Women’s Health National Women's Health and Breastfeeding Helpline – 1-800-994-9662 (leave message 9am – 6pm).
  3. MotherToBaby – Live chat – for questions about medications and environmental breastfeeding exposures.
  4. LactMed – Website for up-to-date recommendations on medication and mother’s milk.
  5. Perinatal mood disorders – Find local support and help.
  6. Academy of Breastfeeding Medicine – Find a physician, evidenced-based protocols for management, and More.
  7. 4th Trimester Project – Expert written resources and information for families.
暫定手引きの免責
ここで提供されるCOVID-19暫定臨床手引きは、公開時に入手可能な現在のエビデンスと情報に基づいて更新されている。手引きは、パンデミックと新たなエビデンスが更新されるため定期的に見直される。すべての暫定の手引きは、特に明記されていない限り、2020年12月に期限切れになると推定されている。

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英国王立助産師会、王立産婦人科学会、王立小児保健学会、王立麻酔科学会:
妊娠中の新型コロナウイルス感染症 医療保健従事者のための情報 Ver 11 2020年7月24日
Royal College of Midwives, Royal College of Obstetricians and Gynaecologists, Royal College of Paeditirics and Child Health, Royal College of Anaesthetists.
Coronavirous (COVID-19) Infection in Pregnancy: Information for Health Care Professionals. Version 11
https://www.rcog.org.uk/globalassets/documents/guidelines/2020-07-24-coronavirus-covid-19-infection-in-pregnancy.pdf

(6.1 neonatal care と6.2 infant feedingのみを紹介)
6.1 COVID-19のパンデミック下で、赤ちゃんへの新生児ケアはどのように行われるべきか?

助言
  • 女性とその健康な新生児は、産科的なまたは新生児の特別な治療が必要でないかぎり、出産直後から一緒にいられるようにすべきである。
  • COVID-19が疑われるか確認された女性は、新生児がその時点で医学的処置を必要としなければ、その新生児と一緒にいられるよう、また肌と肌の触れ合い/カンガルーケアが実践できるよう、援助されるべきである。
  • COVID-19が疑われるか確認された女性で、その新生児が新生児病棟での治療が必要な場合には、予防的な措置によって、女性から新生児への感染リスクを最小限に抑える必要がある。同時に、決定には両親が関与するべきであり、新生児の健康とwell-being、および母乳育児と愛着に関する潜在的な問題を軽減するための措置を講じる必要がある。
  • COVID-19が疑われる、可能性がある、または確認されている女性が母乳育児を選択すれば、その支援を受けるべきである。
  • 易感染性のある児に関しては、個別化したケアをするために、新生児科医と家族も一緒にリスクと利点の話し合いをすることが推奨される。
  • SARS-CoV-2陽性の女性から生まれたすべての新生児は、英国王立小児保健学会のガイダンスに従ってケアを受けるべきである。
    https://www.rcpch.ac.uk/resources/covid-19-guidance-paediatric-services
  • COVID-19パンデミック下の新生児蘇生に関する具体的なガイダンスは、蘇生協議会から入手できる。
ガイダンスのエビデンスと理論的根拠の要約
妊娠後期にSARS-CoV-2の検査で陽性となった女性の新生児に対するケアの指針となるデータは限られている。王立小児保健学会と王立助産師会**は、このトピックについて別途ガイダンスを提供している。
**https://www.rcm.org.uk/media/4096/optimising-infant- feeding-and-contact-rapid-review-19th-may-2020-submitted.pdf

6.2 COVID-19パンデミック下での新生児の栄養について、女性と家族に何をアドバイスすべきか?

助言
  • 母乳育児は、それが安全で実現可能であれば、すべての女性に推奨される。
  • 母乳育児を希望するすべての女性に、母乳育児をするための支援、助言、ガイダンスが提供されるべきである。
  • 家族は、選択した栄養方法について支援され、COVID-19が疑われるか確認された人のすぐそばで新生児が授乳することのリスクと利点について知らされるべきである。
    • 家族は、COVID-19の感染が母乳育児の禁忌ではないことを知らされるべきである。
  • 女性が具合がよくなくて自分の子どもの世話ができない場合、または直接授乳ができない場合は、手搾りまたは搾乳器での搾乳について支援を受ける、および/またはドナー母乳の利用方法を提供されるべきである。
  • 新生児にウイルスが感染しないよう、以下にあげる王立小児保健学会の予防策を講じるべきである。
    • だれか健康な人に児の授乳を依頼することを考慮する
    • 児や搾乳器のポンプやボトルに触れる前には手を洗う
    • 授乳中に児に向けて咳やくしゃみをしない
    • 授乳中や児のケアの間は、顔を覆うか耐水性のフェイスマスクの着用を考慮する
    • 窒息の危険があるため、新生児にマスクやその他の顔の覆いをしてはならない
  • 女性が病院で搾乳する場合は、専用の搾乳器を使用する。
    • 搾乳器を使用する時場合は、毎回の使用後に勧告に従って洗浄する
    • 児に哺乳びんで人工乳または搾母乳を与えている場合は、滅菌ガイドラインに厳密に従う
ガイダンスのエビデンスと理論的根拠の要約
母乳育児の長期にわたる十分に確立された利益は、母乳を介したウイルス感染の潜在的なリスクを上回る可能性が非常に高いと考えられている。最近の系統的レビューで、24例で母乳がCOVID-19陰性であることが判明したことは安心材料である。しかしながら症例数が少なく、エビデンスの解釈には注意が必要である。直接授乳の主なリスクは母親と児の濃厚接触であり、感染性の飛沫をお互いに浴びる可能性が高いことである。
現時点でのエビデンスによって、母乳育児の利点は、母乳を介したウイルス感染の潜在的なリスクを上回るということを、我々は助言する。これは、英国で広く 実施されているユニセフの赤ちゃんにやさしい運動によって支持されている見解である。
授乳時の感染のリスクを最小限に抑えるための具体的な推奨事項は、英国王立小児保健学会と王立助産師会の専門家とともに、それらのガイダンスを参考にして作成された。
新生児の顔を覆うことは、適切とは考えられていない。顔を覆うものの使用のための現在の政府の助言は、英国の成人を対象としたものである。

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WHO:
母乳育児とCOVID-19 科学的要約 2020年6月23日
Breastfeeding and COVID-19  Scientific Brief
https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/breastfeeding-and-covid-19
(全訳)

前書き
母乳育児は、乳幼児の生存、栄養、発達、母体の健康の要である。WHO(世界保健機関)は、生後6か月間は母乳だけで育てることを推奨し、その後適切な補完食と共に、2年かそれ以上、母乳育児を続けることを推奨している。肌と肌の触れあい、母子同室、カンガルーマザーケアは新生児の生存率を大幅に改善し、罹患率を低減し、WHOから推奨されている。
しかし、COVID-19の母親が母乳育児することによってSARS-CoV-2ウイルスを乳児や幼児に感染させうるかどうかについての懸念が提起されている。母子の触れあいと母乳育児に関する推奨は、乳児へのCOVID-19感染の潜在的なリスクだけでなく、母乳育児を行わないことによる罹患率と死亡率、乳児用人工乳の不適切な使用、肌と肌との触れ合いによる保護効果などのリスクを十分に考慮しなければならない。この科学的要約では、COVID-19の母親から子どもに母乳育児によって感染するリスクに関する今までのエビデンスと、母乳育児しないことによる子どもの健康へのリスクに関するエビデンスを検討する。

WHOの推奨
WHOは、COVID-19の疑いがあるか確認されている母親に、母乳育児を開始する、または継続するよう奨励することを推奨している。母親には、母乳育児の利点が感染の潜在的なリスクを大幅に上回ることを助言する必要がある
母親と子どもは、COVID-19の疑いがあるか確認されているかどうかにかかわらず、昼夜を問わず同室して一緒に過ごすことができ、カンガルーマザーケアを含む肌と肌の触れあいを実践することができるようにするべきである。

方法
コクランハンドブックの「介入に関する系統的レビュー」の手順に従って、2020年5月15日までに検索した研究に対して現時点での系統的レビューを行った。対象はCOVID-19の疑いのあるまたは確認された母親とその乳児もしくは幼児を含む研究と特定されたものである5。検索は、Cochrane Library、EMBASE(OVID)、PubMed(MEDLINE)、Web of Science Core Collection(Clarivate Analytics)、およびWHO Global Databaseで行われた。合計12,198件の記録が得られ、重複を削除した後、6945件がスクリーニングされ、その中で、母親がCOVID-19で、母子の記録が本文中に含まれていたものは153件であった

結果
計46組の母子で、母乳中のCOVID-19について検査されていた。すべての母親はCOVID-19で、13名の子どもがCOVID-19陽性であった。43名の母親の母乳はCOVID-19ウイルス陰性で、3名の母親の母乳はRT-PCRによりウイルス粒子が陽性であった。生のウイルスではなくウイルスRNA粒子について母乳が陽性と判定された母親3名の子どものうちの1名は、COVID-19陽性と判定されたが、栄養方法については報告されていない。他の2名の子どもはCOVID-19検査は陰性であった。1名は母乳で育てられ、もう1名の新生児はウイルスRNA粒子が検出されなくなった後で搾母乳を与えられた。COVID-19だった1名の子どもに関して、子どもが感染した経路または感染源、すなわち母乳からなのか感染した母親との密接な接触による飛沫感染なのかは不明である。
1つの出版前論文が、COVID-19の母親からの15検体の母乳のうち12でCOVID-19ウイルスに対する分泌型免疫グロブリンA(sIgA)免疫反応が見つかったと報告した。この結果の、子どもへの影響、期間、COVID-19の予防効果に関する意義については言及されていない。

限界
これまでのところ、授乳方法とCOVID-19感染に関するデータを用いた母子の研究は、症例報告、症例シリーズ、または家族のクラスターの報告に基づいている。コホート研究やケースコントロール研究などの他の研究デザインを含めることが望ましいが、見つからなかった。したがって、授乳方法に基づいて感染のリスクを評価し比較することはできない。
母乳にウイルス粒子が存在した母親3名の子どものうちの1名はCOVID-19だったが、感染経路や感染源については、すなわち母乳を通してなのか、母親もしくは他の感染者との密接な接触によるものなのかについては不明であった。RT-PCRは、母乳などの検体中にあるウイルスの遺伝物質を検出して増幅するが、ウイルスの生存能力や感染力に関する情報を提供するものではない。母乳中の細胞培養で複製可能なCOVID-19ウイルスが存在することの報告や、動物実験での感染性の実証が、母乳から感染する可能性があると見なすために必要である。
母乳中のIgAの存在は、母乳育児が子どもを感染や死から守る方法の1つである。COVID-19ウイルスに対するIgA抗体は、以前COVID-19に感染した母親の母乳に検出されたことがあるが、その程度と分泌期間は、授乳中の子どもをCOVID-19から守ると言うにはまだ十分に研究されていない。

考案
母乳中のCOVID-19ウイルスRNAの検出は、生存能力のある感染性ウイルスを見つけることと同じではない。COVID-19の伝播には、複製可能な感染性のあるウイルスが子どもの標的部位に到達でき、子どもの防御システムに打ち勝つ必要がある。将来、母乳からのCOVID-19ウイルスが細胞培養で複製可能であることが示されたとしても、COVID-19の感染が発生するためには、子どもの標的部位に到達し、子どもの防御システムに打ち勝つ必要があるだろう。
感染リスクという意味合いは、授乳中の母親におけるCOVID-19の有病率や、感染した場合の子どもにおけるCOVID-19の範囲と重症度という観点と、分離して母乳代用品を使用することの不利な影響、新生児や幼児を母親から分離することの不利な影響と比較して組み立てられる必要がある
小児ではCOVID-19のリスクが低いようである。小児のCOVID-19が確認された症例は、経験上ほとんどが軽症または無症候性であった7.8。これは、他の人畜共通感染コロナウイルス(SARS-CoVおよびMERS-CoV)の場合にも当てはまり、小児では成人に比べて罹患が少なく、症状が少なく、重症になることも少ないようである
分泌型IgAは、以前にCOVID-19に感染した母親の母乳中に検出されている。COVID-19に対するsIgAの程度と分泌期間はまだ解明されていないが、Lars A Hansonが1961年に母乳中のsIgAを最初に記載10-12して以来、感染からの防御だけでなく、子どもの神経認知と免疫学的発達を向上させる複数の生理活性成分が母乳で確認されている。
肌と肌の触れあいやカンガルーマザーケアは、母乳育児、体温調節、血糖コントロール、母子の愛着を促進し、低出生体重児の死亡率と重症感染のリスクを減らす13、14。新生児期を過ぎても、母親と子どもが抱き合うことの肯定的な効果として、睡眠パターンの改善、子どもの問題行動の発生率の低下、親との質の高い相互作用があげられている15、16
母乳だけで育てられている乳児に比べて、母乳育児されていない乳児の死亡リスクは14倍高くなる17。0〜23か月のすべての子どもが母乳で最適に育てられていれば、毎年82万人以上の5歳未満の子どもたちの命が救われる可能性がある。母親については、母乳育児は乳がんを予防するし、卵巣がんと2型糖尿病を予防できるかもしれない18。一方で、子どもはCOVID-19のリスクが低いのである。

知識のギャップ
ウイルスが母乳を介して伝播するかどうかはまだ明らかではない。授乳方法による感染のリスクは、母乳育児や母子相互作用の育成という利点に対して定量化、比較化、またはモデル化されていない。

結論
現在のところ、母乳育児によるCOVID-19の垂直感染を裏付けるデータは不十分である。乳児ではCOVID-19感染のリスクは低く、通常は軽症または無症候性であるが、母乳育児を行わないことや母子分離がもたらす影響は重大なものになる可能性がある。この点において、乳児や小児のCOVID-19は、母乳育児が防御している他の感染症に比べて、生存と健康に対する脅威は大幅に低いようである。感染症を予防し、健康と発達を促進するための母乳育児と母子相互作用の育成の利点は、保健サービスなど地域におけるサービス自体が混乱したり制限されている場合には特に重要である。COVID-19が疑われる、または確認された母親とその新生児および幼児の間の接触感染を防ぐためには、感染予防および制御手段の遵守が不可欠である。
利用可能なエビデンスに基づいて、乳児および幼児の母乳育児の開始と継続に関するWHOの推奨は、COVID-19が疑われるか確認された母親にも適用される。

文献
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  14. Conde‐Agudelo A, Díaz‐Rossello JL. Kangaroo mother care to reduce morbidity and mortality in low birthweight infants. Cochrane Database of Systematic Reviews 2016, Issue 8. Art. No.: CD002771. DOI: 10.1002/14651858.CD002771.pub4.
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WHOは、この暫定ガイダンスに影響を与える可能性のある変更がないか、状況を注意深くモニタリングし続けます。何らかの要因が変化した場合、WHOはさらなる更新を行います。それ以外の場合、この科学的要約は発行日から2年で期限切れになります。

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カナダ保健省:
妊娠、出産、赤ちゃんのケアについて:COVID-19流行中におけるお母さんへの助言 2020年5月25日
Public Health Agency of Canada: Pregnancy, childbirth and caring for newborns: Advice for mothers during COVID-19
https://www.canada.ca/en/public-health/services/publications/diseases-conditions/pregnancy-advise-mothers.html

赤ちゃんのケア

できれば、医学的に必要でない限り、あなたと赤ちゃんは家を出るべきではありません。赤ちゃんが生まれると、他の人からCOVID-19がうつるかもしれないので、感染の拡大を防ぐための対策を講じることが重要です。 COVID-19に感染している、または感染していると考えられる場合は、自宅内で自己隔離する必要があります。これには自宅内で他の人と物理的距離をとることが含まれますが、赤ちゃんがいるときは例外です。
あなたが望むなら肌と肌とを触れ合って赤ちゃんを抱くことも、赤ちゃんと同じ部屋にいることもできます。とりわけ母乳育児を確立する期間や絆を結ぶためならば。
あなたに症状がある場合(たとえ症状が軽度であっても)、赤ちゃんにウイルスが広がるのを避けるために可能な限りの予防策をとるべきです:
  • 頻繁に手を洗ってください。特に赤ちゃんや他の子どもに触れる前後に。
  • 適切な咳エチケットを実践してください。
  • 医療用でないマスク、もしくは顔を覆うもの(鼻と口を完全に隙間なく覆うようになっていて、紐または耳かけで頭に固定できるもの)を、赤ちゃんの側(2メートル以内)にいるとき、および特に授乳中には着用してください。
  • 周囲の環境を清潔にし、承認された硬表面消毒剤で消毒してください。
母乳育児には多くの健康上の利点があり、乳児期から小児期にかけて感染症や病気から最も多くの防護作用が得られるため、できれば母乳育児が推奨されます。COVID-19を引き起こすウイルスは母乳からは発見されていません。 母乳育児することで、赤ちゃんは重要な食の安全を受け取ることができます。
COVID-19に感染している、または感染していると考えられる場合は、赤ちゃんに授乳するときに上記の予防策をとってください。 さらに親は次のことも考慮する必要があります。
  • 授乳クッションを使用する場合は、赤ちゃんに授乳するたびに清潔なタオルを枕の上に置いてください。
  • 搾乳器を使用する場合は、使用の前後に注意深く器具を滅菌してください。使用後は毎回、液体石鹸(例えば食器用洗剤と温水)でポンプ/容器を洗ってください。熱湯で10〜15秒間すすぎます。
  • 哺乳びんや搾乳器を共有しないでください。
体調不良のため母乳育児ができない、または赤ちゃんの通常の世話ができない場合は、健康な大人に赤ちゃんの授乳と世話を依頼することをお勧めします。家の中にはCOVID-19ウイルスがいるので、赤ちゃんの世話をする人は、医療用ではないマスクまたは顔を覆うものを着用し、頻繁に手を洗う必要があります。

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WHO母乳育児とCOVID-19 医療従事者向けよくある質問2020年5月12日
WHO:FAQ:Breastfeeding and COVID-19 For health care workers
https://www.who.int/docs/default-source/maternal-health/faqs-breastfeeding-and-covid-19.pdf

序文

このFAQは2020年3月13日の「WHO暫定ガイダンス:COVID-19感染症が疑われる重症急性呼吸器感染(SARI)の臨床管理」を補完するものであり、
www.who.int/publications-detail/clinical-management-of-severe-acute-respiratory-infection-when-novel-coronavirus-(ncov)-infection-is-suspected(母乳育児の項の翻訳https://jalc-net.jp/covid19_jalc_contents.html#L8 )この勧告についての疑問に答えるものである。
この暫定ガイドラインとFAQは以下を反映している。
  1. COVID-19の経母乳感染のリスクに関する入手可能なエビデンス
  2. 母乳育児と肌と肌との触れ合いの感染予防効果
  3. 不適切に人工乳を使用する場合の有害な影響
このFAQはWHOの勧告である「Infant and Young Child Feeding and the Interagency Working Group Operational Guidance on Infant and Young Child Feeding in Emergencies」も参考としている。「方針決定のためにツリー」はこれらの勧告が、産科施設の医療従事者や地域で母親や家族への日々の職務の一環としてどのように実施されるかを示すものである。
www.who.int/news-room/q-a-detail/q-a-on-covid-19-and-breastfeeding

1.COVID-19は母乳育児によって感染しますか?

感染力のあるCOVID-19のウイルスは、今のところ、COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親の母乳中に1例も見つかっていません。したがって、COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親から、COVID-19が直接授乳や搾母乳を与えることにより感染することはありそうにないことを、この事実は示しています。研究者はCOVID-19の感染が確認された/疑わしい母親の母乳の検査を続けています。

2.COVID-19が 流行している地域では、母親は授乳すべきですか?

はい。すべての社会経済的状況において、母乳育児は生存率を改善し、生涯における健康と発達のアドバンテージを新生児と乳児に与えます。母乳育児は母親の健康も改善します。それに対し、母乳や直接授乳を通じてのCOVID-19の感染は確認されていません。母乳育児をやめたり避けたりする理由はないのです。

3.母親がCOVID-19の感染が確認された/疑わしい場合であっても、出産後すぐに、赤ちゃんが母親と肌と肌との触れ合いをしたり、直接授乳をしたりするのを今まで通り行ってもいいですか?

はい。カンガルー・マザー・ケアも含めて肌と肌との触れ合いを出生直後から継続して実施することは、新生児の体温調整や他のいろいろな生理学的指標を改善し、新生児の死亡率を減少させます。新生児を母親の近くに寝かせることも、母乳育児の早期開始を可能にし、新生児の死亡率を減少させます。肌と肌との触れ合いと母乳育児の膨大な利点は、COVID-19に関連する疾患と感染の潜在的なリスクを大きく上回ります。

4.母親にCOVID-19の感染が確認された/疑わしい場合でも、母乳育児を続けるべきですか?

はい。母乳育児が、高所得国も含め新生児、乳児、小児の死亡率を減らし、すべての地理的経済的状況の下で生涯にわたる健康と発達を改善したことを、質の高いエビデンスが示しています。
COVID-19のウイルスが母乳や直接授乳を通じて感染した事例は確認されていません。子どもにCOVID-19の感染が確認された例はわずかで、ほとんどは軽症か無症状でした。
直接授乳中は、母親は、できればマスクをするなどの適切な衛生手段を講じ、COVID-19を含んだ飛沫が乳児に暴露する可能性を減らしましょう。

5.COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親が母乳育児をする時の衛生手段の勧告はどのようなものですか?

COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親は、
  • 石けんと水で頻繁に手を洗うか手指用アルコール含有消毒剤を使いましょう。特に赤ちゃんに触れる前にはそうしましょう。
  • 授乳中はマスクをしましょう。以下の点が重要です。
    - マスクが湿ったらすぐに取り換えましょう。
    - マスクはすぐに捨てましょう。
    - マスクの再利用はしないようにしましょう。
    - マスクの前面には触らないようにし、後ろから外しましょう。
  • くしゃみや咳はティッシュペーパーの中にして、すぐに捨てましょう。そして手指用アルコール含有消毒剤を使うか石けんと清潔な水でもう一度手を洗いましょう。
  • 定期的に表面をきれいにし、消毒しましょう。

6.COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親がマスクを持っていない時でも、直接授乳すべきですか?

はい。母乳育児は疑いなく新生児と乳児の死亡率を減らし、乳児と子どもの生涯にわたる多大な健康と脳の発達にアドバンテージを与えます。COVID-19の症状を呈している母親はマスクをするよう助言されますが、たとえそれができなくても、母乳育児は続けられるべきです。感染症を予防する他の手段、例えば手を洗う、表面をきれいにする、ティッシュペーパーの中に咳やくしゃみをする、なども重要です。
手作りのマスクや布マスクなどは検証されていません。現時点では、これらの使用の可否については勧告することができません。

7.COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親は、直接授乳の前や搾乳前に乳房を洗うことが必要ですか?

COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親が自分の胸や乳房の上に直接咳をしてしまってすぐに授乳する場合は、授乳前に石けんとぬるま湯で少なくとも20秒やさしく洗いましょう。
直接授乳や搾乳の度毎に乳房を洗う必要はありません。

8.COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親が直接授乳できない場合、新生児や乳児のベストな栄養方法は何ですか?

新生児や幼い乳児への直接母乳のベストな代替手段は
  • 搾母乳
    - 搾乳に関しては、まずは手による搾乳を伝え、搾乳器によるものは必要な場合のみとしましょう。手と搾乳器は同じように効果的に搾乳できます。
    - 搾乳に際しどちらを選ぶかは、母親の好み、搾乳器などの手に入れやすさ、衛生環境、コストによります。
    - 搾乳は、母親が回復した後母乳育児ができるよう乳汁産生を維持するのにも重要です。
    - 母親や母親を手伝う人は、搾乳の前やポンプやボトルの部品を触る前に手を洗い、使用毎に適切にポンプを洗浄しましょう。(質問10参照)
    - 搾母乳は、できれば、清潔なカップやスプーン(清潔にしやすいため)を使い、病気の症状や兆候がなく赤ちゃんが安心できる人に与えてもらいましょう。新生児や乳児に搾母乳を与える前には、母親や養育者は手を洗いましょう。
  • 母乳バンクの母乳
    - -母親が搾乳できず、母乳バンクから乳汁が手に入るなら、母親が回復するまで母乳バンクの母乳を赤ちゃんに与えることができます。
  • 搾母乳も母乳バンクの母乳も不可能だったり手に入らなかったりした場合は、以下を考慮しましょう。
    - もらい乳(母親以外の女性にによる直接授乳)(質問11参照)
    - 入手可能で、適切に準備することができ、安全で持続可能な場合、人工乳
9.COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親の搾母乳を与えることは安全ですか?

はい。感染力のあるCOVID-19のウイルスは、今のところ、COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親の母乳からは1例も検出されていません。COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親の母乳を与えることで、ウイルスが感染することはなさそうです。

10.COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親が自分の赤ちゃんのために搾乳する場合、搾乳器、母乳の保存容器、授乳の用具の取り扱いに追加することはありますか?

COVID19が考慮されなくても、搾乳器、母乳の保存容器、授乳の用具は、毎回の使用後、適切に清潔にしなければなりません。
  • ポンプや容器は毎回の使用後、液体石けん、例えば食器用洗剤と、ぬるま湯で洗います。湯で10-15秒すすぎます。
  • 食洗器を使う場合は、搾乳器の部品は食洗器の一番上の棚に置きます。使用前には取り扱い説明書を参照のこと。
11.COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親が直接授乳も搾乳もできない場合、もらい乳(母親以外の女性にによる直接授乳)が推奨できますか?

もらい乳(母親以外の女性にによる直接授乳)を選択肢にいれるかどうかは、家族や母親の受け入れ、国のガイドライン、文化的許容度、現実に乳母を頼むことができるか、母親と乳母に支援サービスがあるか、によります。
  • HIVが流行している地域では、乳母となる可能性のある人には、できれば、国のガイドラインに従ってHIVのカウンセリングと迅速な検査を行います。検査ができなければ、可能であれば、HIVのリスクアセスメントを行います。HIVのリスクアセスメントやカウンセリングができない場合、乳母を支援します。授乳の際に、HIV感染を避ける方法をカウンセリングします。
  • 乳母による授乳は、月齢の小さい乳児を優先します。
12.COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親の病気が重症であるか他の疾患があるために直接授乳が行えない場合、いつ直接授乳を再開できますか?

母親が直接授乳を再開するのは、自身が授乳できるだけ元気になったと感じた時です。COVID-19の感染が確認された/疑わしい状態から、どのくらい待たなければならないかの決まった期間はありません。母乳育児が母親のCOVID-19の臨床経過を変えるというエビデンスはありません。
母親が十分回復するために、全般的な健康と栄養に関する支援を受けられるようにしましょう。また、母乳育児の開始や母乳復帰(リラクテーション)に関しての支援も受けられるようにしましょう。

13.COVID-19の検査結果によって、乳幼児の栄養の勧告は変わりますか?

COVID-19の検査が、乳幼児の栄養における決定にすぐに影響するわけではありません。
しかしながら、COVID-19の確認は、適切で推奨された衛生手段を、感染の可能性のある期間、例えば症状がある間や、症状が始まってから14日間かそれ以上、母親が講じなければいけないことを意味します。

14.COVID-19の感染が確認された/疑わしい授乳中の母親に対し、人工乳の「補足」は勧められますか?

いいえ。COVID-19の感染が確認された/疑わしい授乳中の母親に人工乳の「補足」を伝える必要はありません。「補足」を行うと、母親の乳汁産生量を減らします。授乳中の母親はが、適正な乳汁産生を保証するため、最適な授乳姿勢や吸着に関するカウンセリングや支援を受けられるようにしましょう。赤ちゃんの気持ちに応える授乳や母乳不足感について、また、赤ちゃんの空腹や授乳のサインに応えて授乳回数を増やす方法について、母親が相談できるようにしましょう。

15.授乳したいがCOVID-19を児に感染させるのは怖いという母親に伝えるポイントは何でしょうか?

カウンセリングの一部として、母親や家族のCOVID-19に関する不安について認め、以下のように対応しましょう。
  1. 母乳育児と肌と肌の触れ合いは新生児と乳児の死亡のリスクを有意に減らし、現在のまた生涯にわたる健康と発達に有利であること。母乳育児はまた、母親の乳がんや卵巣がんのリスクを減らすこと。
  2. 新生児や乳児はCOVID-19の感染リスクが低いこと。乳幼児のCOVID-19の感染確認はわずかで、ほとんどは軽症か無症状であること。
  3. 母乳育児の膨大な利点は、COVID-19に関連する疾患と感染の潜在的なリスクを大きく上回ること。
  4. COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親からも、感染性のあるCOVID-19は母乳中には1例も検出されておらず、今のところウイルスが母乳を通じて感染する証拠はないこと。
16.COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親には、人工乳のほうが児にとって安全ですか?

いいえ。すべての状況で、新生児や乳児に人工乳を与えることはいつもリスクを伴います。
家庭や地域の状況が危ういときには、人工乳を児に与えることに関連するリスクは増大します。
例えば
  赤ちゃんの健康状態が悪くなった時の医療保健サービスへのアクセスの低下

  清潔な水が手に入りにくくなる

  人工乳の供給が困難になる、供給が保証されなくなる、価格が高騰する、供給の持続が困難になる

  母乳育児の膨大な利点は、COVID-19ウイルスに関連する疾患と感染の潜在的なリスクを大きく上回ります。


17.WHOの母乳育児とCOVID-19に関する勧告は、どの期間に適応となりますか?

このCOVID-19の感染が確認された/疑わしい母親の乳児のケアと栄養についての勧告は、母親が感染の可能性のある期間、例えば症状がある間や、症状が始まってから14日間かそれ以上に適応されます。

18.このCOVID-19の感染が確認された/疑わしい母親と乳児への勧告は、なぜ一般に向けのソーシャル・ディスタンスの勧告と異なるのですか?

成人や年長児がソーシャル・ディスタンスを維持するよう勧告されているのは、COVID-19に感染しているが無症状の人との接触を減らし、結果的にウイルス伝播を減らすためです。
この戦略は、COVID-19の総体的な罹患率を減らし、より重症となる成人の数を減らします。
COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親の乳幼児へのケアと栄養に関するこの勧告の目的は、新生児や乳児の、現在のまた生涯にわたる健康と発達を改善することです。乳児にCOVID-19が起こる可能性や潜在的リスクと、母乳で育てられない場合や人工乳が不適切に用いられた場合の乳児の重症疾患や死亡のリスク、そしてまた、母乳育児や肌と肌との触れ合いの予防効果を、この勧告は考慮しています。
一般的に、小児はCOVID-19の低リスク群です。小児のCOVID-19の感染確認はわずかで、ほとんどは軽症か無症状でした。母乳育児の膨大な利点は、COVID-19に関連する疾患と感染の潜在的なリスクを大きく上回ります。

19.COVID-19の感染が確認された/疑わしい母親の乳児のために人工乳の無償提供を保健医療施設が受け取っても問題ないでしょうか。

いいえ。人工乳の寄付は求めても受け取ってもいけません。必要であれば、必要量をアセスメントした上で物品を購入します。寄付された人工乳は、品質が様々で、月齢に合っていなかったり、必要量に対して多すぎたり少なすぎたり、外国語のラベルであったり、取り扱いについての必須の事項が守られていなかったり、無差別に配布されたり、必要とするところに届かなかったり、その場限りであったり、リスクを減らすのに余分な時間や資源を要したりすることがよくあります。

20.なぜWHOのCOVID-19の感染が確認された/疑わしい母親への母子接触や母乳育児の勧告は一部の国や専門家組織のものと異なるのですか?

母子接触や母乳育児に関するWHOの勧告は、COVID-19の乳児への感染リスクだけでなく、肌と肌との触れ合いや母乳育児の防御効果とともに、母乳育児をしないことや人工乳を不適切に用いることによる疾病罹患率や死亡率に対する重大なリスクをも十分考慮しています。
他の機関の勧告は肌と肌との触れ合いや母乳育児の重要性を十分考慮せず、COVID-19の感染の予防のみに焦点を当てている可能性があります。
https://www.who.int/news-room/q-a-detail/q-a-on-covid-19-and-breastfeeding

免責
この文書における、質問に対する回答はWHOの出版物やthe Interagency Working Group Operational Guidance on Infant and Young Child Feeding in Emergencies.に基づいています。WHOの暫定ガイダンスは、WHOの世界的な臨床医のネットワークと、SARS、MERS、重症インフルエンザ、COVID-19の患者を治療してきた臨床医により作成されました。
問い合わせは、件名を「COVID-19 clinical question」として、 outbreak@who.int まで。



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Global Breastfeeding Collective:
母乳育児とCOVID-19についての大切なメッセージ 2020年5月8日
Global Breastfeeding Collective: KEY ADVOCACY MESSAGES ON BREASTFEEDING AND COVID-19:
https://www.unicef.org/breastfeeding/files/Key-advocacy-messages-on-BF-and-COVID-19.pdf

すべての人に対するメッセージ
  • 母乳育児で命が助かります。研究によれば、母乳で育てる割合が高くなることで、毎年世界中で82万人以上の子どもの命を救うことができます。
  • 母乳はどこにいる赤ちゃんにも、健康を高め多くの感染症から守る抗体を与えます。母乳中の抗体と生理活性物質は、赤ちゃんがCOVID-19感染症にさらされた場合、COVID-19感染症と闘う可能性があります。
  • 感染性のあるコロナウイルスが母乳中に見つかったことはなく、経母乳感染は確認されていません。
  • COVID-19に罹った子どもは一般的に軽症です。子どもの症状は、発熱、鼻水、咳といった風邪のような症状が報告されています*。
  • 母親と触れ合い早期から母乳だけを与えることは、赤ちゃんの成長を助けます。母乳育児の比類のない利点は、感染の可能性のリスクを上回ります。
COVID-19の疑いもしくは確定した授乳中の母親へのメッセージ

  • 赤ちゃんと触れ合い早期から母乳だけを与えることは、赤ちゃんの成長を助けます。これから赤ちゃんを産もうとしているなら、安全に母乳を飲ませ、生まれたばかりの赤ちゃんと肌と肌をふれあい、赤ちゃんと同室で過ごせるよう支援されるべきでしょう。
  • 適切な衛生予防策をとって安全に直接授乳することができます。授乳中は咳エチケットを行い、入手できればマスクをし、赤ちゃんに触れる前後に手を洗い、触った表面を毎回清潔にし消毒します。
  • 直接授乳できないくらい具合が悪いなら、安全に母乳を飲ませる別の方法があります。搾母乳やあなたの住んでいる地域で手に入るようならドナー母乳を使います。どのような選択肢があるのか、母乳育児カウンセラーや保健医療専門家に聞いてみましょう。病気の間母乳分泌を保つことができなければ、回復してから母乳育児を再開することも可能かもしれません。
  • 母乳育児は子どもの免疫システムを強化します。母親の抗体が母乳を経由して子どもに移行し、子どもが感染症と闘うのを助けます。あなたの赤ちゃんや幼児がCOVID-19やそのほかの病気にかかったら、母乳育児を続けるべきでしょう。
* https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/daily-life-coping/children.html

保健医療従事者へのメッセージ
  • 母乳育児を支援するためのカウンセリングや技術的支援などの保健サービスは継続する必要があります。ソーシャルディスタンスが提唱され、保健医療従事者が手薄な状況では、必要に応じて遠隔支援(オンライン支援)の選択肢を考えましょう。
  • COVID-19が陽性かどうかにかかわらず、すべての母子が肌と肌の触れあい、カンガルーマザーケアをできるようにしましょう。とりわけ出産直後から母乳育児が確立するまでの期間、昼夜を問わず一緒にいて母子同室ができるように支援すべきです。
  • COVID-19陽性の女性は授乳中必要な衛生予防策を講じて母乳を飲ますように助言されるべきでしょう。授乳中は咳エチケットを行い、入手できればマスクをし、赤ちゃんに触れる前後に手を洗い、触った表面を毎回清潔にし消毒するべきです。
  • COVID-19陽性の女性が直接授乳できないくらい具合が悪いなら、安全に母乳を挙げ与える別の方法をとるように支援することができます。搾母乳や手に入るようならドナー母乳を使います。母乳育児を一時的に中止した場合は、回復してから母乳復帰支援をしましょう。
  • 乳児や幼児がCOVID-19感染症や他の病気の疑い、可能性、確定の場合、母親は母乳育児を継続するようカウンセリングを受けられるようにします。
  • 保健医療従事者は乳児用ミルクを使用する費用とリスクについて母親に知らせましょう。特に清潔な水が手に入らず衛生状態が悪い場合、下痢などの病気に罹るリスクが上がることを伝えましょう。
政府へのメッセージ
  • 政府は、母親もしくはその赤ちゃんがCOVID-19の疑い、あるいは可能性のある、もしくは確定されたかどうかににかかわらず、すべての母親が母乳で育てるための適切なリソースと情報を手に入れる保証をするという重要な役割があります。
  • 政府は、女性が望むだけ母乳を与え、正確で偏りのない情報を手に入れる権利を保証するべきです。それは、独立したモニタリング体制と罰則規定を持つ国内法制によって、「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」と世界保健総会の関連決議を履行し法制化することで実現します。
  • COVID-19のパンデミックにおいては、政府は家族を乳業会社から守るために特別の注意を払うべきです。乳業会社はパニックや伝染への恐怖を利用して、母乳代用品が安全であるという誤った主張をしたり、行き過ぎた営業活動を強化したりします。
  • 政府は母乳代用品や補完食や(哺乳びんなどの)授乳用品の寄付を求めたり受け取ったりするべきではありません。
  • 政府は、医療施設と保健医療専門家が最適な母乳育児カウンセリングと支援を母親、家族、乳児に提供できるように、保健医療専門家の研修にもっと投資をする必要があります。
  • 母乳バンクがある国では、パンデミック中でも機能できるように、政府が保証する必要があります。脆弱な赤ちゃんの命を救う母乳が得られるように、適切な衛生予防策を守って母乳の寄付が安全に行われるようにします。
(後略)

【訳注】 Global Breastfeeding Collectiveは以下の団体の集合体です。
1000 Days, Academy of Breastfeeding Medicine, Action Against Hunger, Alive and Thrive, Bill and Melinda Gates Foundation, CARE, Carolina Global Breastfeeding Institute, Center for Women’s Health and Wellness, Centers for Disease Control and Prevention, Concern Worldwide, Helen Keller International, International Baby Food Action Network, International Lactation Consultant Association, La Leche League International, New Partnership for Africa’s Development, Nutrition International, PATH, Save the Children, UNICEF, United States Agency for International Development, WHO, World Alliance for Breastfeeding Action, World Bank, and World Vision International

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WHO :
Q&A、母乳育児と新型コロナウイルス感染症 2020年5月7日
Q&A: Breastfeeding and COVID-19
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/question-and-answers-hub/q-a-detail/q-a-on-covid-19-and-breastfeeding

(全文)
Q:新型コロナウイルスは母乳からうつりますか?
母乳および母乳育児によるアクティブな新型コロナウイルス(感染症を引き起こす可能性のあるウイルス)の感染は、これまで見つかっていません。母乳育児を避けたり止めたりする理由はありません。

Q:新型コロナウイルスが蔓延している地域でも、母乳で育てるべきでしょうか?
はい。どのような社会経済的環境でも、母乳育児は生存率を改善し、新生児と乳児に生涯にわたる健康と発達の利点を提供します。母乳育児は母親の健康も改善します。

Q:母親が新型コロナウイルス感染症と確認されているか疑われていても、なお、出産後すぐに赤ちゃんと肌と肌の触れ合いをして、母乳で育てるべきですか?
はい。カンガルーマザーケアを含む、生まれてすぐからの継続的な肌と肌の触れ合いは、新生児の体温調節を改善し、生存率の向上に関連します。新生児を母親の近くに置くことで、母乳育児の早期開始も可能になり、死亡率が低下します。
肌と肌の触れ合いと母乳育児の多くの利点は、新型コロナウイルス感染と病気の潜在的なリスクを大幅に上回ります。

Q:新型コロナウイルス感染症が確認されているか疑われている女性でも授乳できますか?
はい。新型コロナウイルス感染症が確認または疑われている女性でも、そうしたいと望むのであれば、授乳できます。その際は下記のようにして下さい:
  • 石鹸と水で頻繁に手を洗うか、またはアルコールベースの消毒液で手を擦り合わせてください。特に赤ちゃんに触れる前にはそうしてください。
  • 授乳などで赤ちゃんに触れる時は、医療用マスクを着けてください。
  • くしゃみや咳はティッシュペーパーにします。それはすぐに廃棄して、再度手を洗います。
  • お母さんが触れた場所は、定期的に拭いて消毒します。

医療用マスクは湿気を帯びてきたらすぐに廃棄して新しいものと交換することが重要です。再利用したり、マスクの前面に触れたりしてはいけません。

Q.新型コロナウイルス感染症が確認されているか疑われている母親は、医療用マスクを持っていない場合でも、母乳で育てるべきですか?
はい。母乳育児は新生児と乳児の死亡を確実に減らし、子どもに生涯にわたる多くの健康と脳の発達という利点をもたらします。
新型コロナウイルス感染症の母親には医療用マスクの着用をお勧めしますが、それが不可能な場合でも、母乳育児を継続する必要があります。母親は、手を洗う、触れた場所を拭く、くしゃみや咳はティッシュペーパーにするなど、他の感染防止対策を講じる必要があります。
非医療用マスク(自家製または布製のマスクなど)については、評価がなされていません。現時点では、使うように勧めることも、使わないよう勧めることもできません。

Q:私は新型コロナウイルス感染症と確認されていて、または疑われていて、直接授乳ができないくらい具合が悪いのです。私に何ができるでしょうか。
新型コロナウイルス感染症やほかの合併症のせいで、授乳ができないほど具合が悪い場合は、あなたにとって可能で利用でき受容できる方法で、母乳を赤ちゃんに安全にあげられるように支援されるべきです。これには以下が含まれます:
  • 搾った母乳
  • ドナーの母乳

搾った母乳やドナーの母乳の入手が不可能な場合は、乳母(別の女性が子どもに母乳を与える)を考慮するか、入手可能で、正しく準備され、安全で持続可能であることを確保する手段とともに、乳児用人工乳を使うことを検討します。

Q:私は新型コロナウイルス感染症が確認されて、または疑われていて授乳できませんでした。いつ授乳を再開できますか?
授乳できるくらい元気になればいつでも始めることができます。新型コロナウイルス感染症が確認されたまたは疑われた後、一定時間待つ必要はありません。母乳育児がお母さんの新型コロナウイルス感染症の臨床経過を変えるというエビデンスはありません。医療従事者または母乳育児カウンセラーは、あなたが母乳復帰*できるよう支援するべきです。
(*訳注:しばらく授乳を休んだ後再開すること)

Q:新型コロナウイルス感染症が確認され、または疑われました。乳児用人工乳をあげた方が安全ではないですか?
いいえ。どんな状況でも、新生児や乳児に人工乳を与えることには常にリスクが伴います。家庭および地域の状況が悪化してくると、乳児の調子が悪くなった時に保健サービスへアクセスしにくくなること、清潔な水が手に入りにくくなること、および/または乳児用人工乳が入手しにくかったり、手ごろな価格で継続的に手に入ることが保証されなかったりなど、乳児用人工乳を与えることに関連するリスクが高まります。
母乳育児の多くの利点は、新型コロナウイルスの感染や病気の潜在的なリスクを大幅に上回ります。

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ユニセフプレスリリース:
新型コロナ感染拡大の最中に生まれる赤ちゃん1億1,600万人に支援を 2020年5月7日
UNICEF:Pregnant mothers and babies born during COVID-19 pandemic threatened by strained health systems and disruptions in services
https://www.unicef.org/press-releases/pregnant-mothers-and-babies-born-during-covid-19-pandemic-threatened-strained-health

日本ユニセフ協会サイトに日本語で公開されています。
https://www.unicef.or.jp/news/2020/0112.html

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英国ユニセフ赤ちゃんにやさしい運動:
COVID-19アウトブレイク中における乳児の授乳についての声明 2020年5月14日改訂
UNICEF UK BABY FRIENDLY INITIATIVE:BABY FRIENDLY INITIATIVE STATEMENT ON INFANT FEEDING DURING THE COVID-19 OUTBREAK
https://www.unicef.org.uk/babyfriendly/infant-feeding-during-the-covid-19-outbreak/

声明

この声明は、コロナウイルス(Covid-19)危機下における乳児栄養に関して最適な実践を支援することを目的としています。英国ユニセフ赤ちゃんにやさしい運動は、医療従事者が赤ちゃん、母親、家族のケアを継続できるように、一連の声明、ガイダンスシート、再教育の資料、リソース、およびよくある質問を作成しました。実践者は、私たちのウェブサイトをチェックして、最新バージョンの資料があること、そしてそれが世界保健機関(WHO)からの最新のアップデートに従っていることを確認することをお勧めします。

母乳育児

母乳育児は赤ちゃんが感染症を発症するリスクを減らすという豊富な証拠があります。ヒトの母乳には、免疫グロブリン、抗ウイルス因子、サイトカイン、白血球など、有害な病原体を破壊し、赤ちゃんの免疫システムを高める働きをする多数の生きた成分が含まれています。現時点では、Covid-19が母乳に移行するという証拠はありません。したがって、母乳と母乳育児が赤ちゃんに与える保護作用と、他の呼吸器感染症のウイルスが経母乳感染を起こすことはほとんどないことを考慮すると、母乳育児の推進、保護、支援を継続するためにできる限りのことをすることが極めて重要です。
母乳育児を容易にするためには、母親と赤ちゃんは可能な限り一緒に過ごし、肌と肌の触れ合いを持ち、赤ちゃんのサインに応じた授乳を行い、必要なときに継続的な支援を利用できるようにする必要があります。
混合栄養の場合は、できる限り多くの母乳を与えられるように支援され、希望するなら母乳のみの栄養に戻るような支援を受けられるように勧めることができます。母親が母乳育児をやめることを検討している場合は、Covid-19アウトブレイク中に母乳育児を継続することの価値について丁寧な話し合いをする価値があります。

人工栄養

親には、搾乳器や哺乳びんなどの洗浄および滅菌に関する現在のガイダンスを引き続き遵守するように勧めます。親には赤ちゃんのサインに応えて哺乳びんで授乳する方法を支援します。それにはpacing feed *や授乳する人の数を制限することも含まれます。(*訳注:赤ちゃんのペースに合わせて哺乳びんで授乳する方法)

Covid-19陽性で赤ちゃんを世話している親のための実用的な情報
親や養育者が感染している場合は、Covid-19の赤ちゃんへの感染を制限するための予防策を講じて下さい。

  • 赤ちゃんに触れる前後に手をよく洗う。
  • 触れたものの表面を定期的に洗って消毒する。
  • 搾乳器、哺乳びん、乳首などの乳児用授乳器具は、使用前後に清拭・洗浄する。
  • 授乳中に乳児に向けて咳やくしゃみをすることを避ける、マスクあるいは他の適切な代替品がある場合はそれを着用したりするなど、呼吸器衛生に努める。
  • 親は「赤ちゃんと一緒に眠ることとSIDS」「赤ちゃんの安全な睡眠**」を参照し、赤ちゃんと一緒に眠ってしまわないよう注意する。
    https://www.unicef.org.uk/babyfriendly/baby-friendly-resources/sleep-and-night-time-resources/co-sleeping-and-sids/
    ** https://www.unicef.org.uk/babyfriendly/new-resources-safer-sleep-week/
  • 母乳育児中のお母さんの体調が悪い場合には、直接授乳を継続するほうが搾乳するより簡単でストレスなくできるかもしれません。あるいは誰か健康な人が搾母乳を赤ちゃんに与える方がいいと思うかもしれません。
  • 体調が悪くて、直接授乳も搾乳もできない場合には、回復してから「母乳再開(母乳復帰)」できるよう支援することもできます。可能ならドナーミルクの使用も検討しましょう。
  • 乳児用調製乳または搾母乳をびんで哺乳している場合は、毎回の使用前に器具を熱いせっけん水で洗ってから滅菌してください。
乳児用調製乳へのアクセス

Covid-19流行中に、自己隔離している家族が乳児用調整乳を入手するのに苦労する可能性があり、一部の家族は財政状況が急速に悪化して、乳児用調整乳や赤ちゃん用の食事が購入できなくなっているという懸念があります。 また、在庫が少ないため、店の乳児用調整乳に親がいつでも入手できるとは限らないという懸念もあります。
現段階で、親はステージ1の 「最初の乳児用調整乳」は1歳未満の乳児に使用するように助言されるべきです。(訳注:英国では乳児用調整乳には大まかな月齢向きに複数の製品があります。以下は指定された月齢の製品が入手できない時の注意点として解説されています。日本では「フォローアップミルク」は生後9ヶ月以降の乳児に対する牛乳代替品で、乳児用調整乳ではありません)
  • 「最初の乳児用調整乳」のいつも使っている銘柄が手に入らなくても、すべての製品は法律に準拠して同じ栄養組成を含んでいるため、どの「最初の乳児用調整乳」も使用可能です。
  • 6か月未満の乳児は、ステージ2の「フォローアップミルク」は使用せず、「最初の乳児用調整乳」のみを使用するよう助言されるべきです。
  • 生後6か月以上の乳児で「フォローアップミルク」を使用しているが入手できない場合は、「最初の乳児用調整乳」を使用してください。
  • 「逆流防止ミルク」「コンフォートミルク」などの他のミルクを使用しているが入手できない場合は、「最初の乳児用調整乳」が使用できます。
  • 乳児用調整乳は、常に製造業者の使用方法に従って使ってください。赤ちゃんの健康を危険にさらす可能性があるため、乳児用調整乳を薄めて長く持たせるようなことしないでください。
Covid-19のアウトブレイクが始まって最初の数週間で、ユニバーサルクレジットを申請する家族の数が劇的に増加したという報告があります。 ユニバーサルクレジットを受け取った家族は、ヘルシースタートクーポンを利用できます(スコットランド、ウエールズなどの分離地域ではそれと同等のものがあります)。
家族がクーポンを請求できるようにサポートすると、乳児用調整乳を入手できるようになります。
継続的な供給が保証されるなら、公共サービスが、緊急事態や本当に必要な場合に、乳児用調整乳を配布することは許容されます。通常の乳児の授乳支援と安全保護ポリシーが適用されます。乳児用調整乳を製造または販売する企業が、乳児用調整乳や特定の医療用目的の乳児用食品として販売されている乳児用ミルクを、寄付したり安い価格で提供することは、法に反します。 緊急時でも乳児用調整乳や特定の医療用目的の乳児用食品を調達した場合、購入者が支払う必要があります。地方自治体では、その緊急食糧供給システムの一環として、母乳育児の保護と乳児用調整乳の配布のための明確な方針手順がなければなりません。 詳細については、コロナウイルス危機下での乳児栄養:地方自治体向けのガイドを参照してください。

側にいて慈しむ関係性ができるような支援
授乳方法にかかわらず、親や主な養育者との感情的な愛着に対する赤ちゃんのニーズを継続して考慮することは重要です。赤ちゃんの側にいて、食べ物、愛、快適さのニーズに対応することは、赤ちゃんの健康、幸せ、発達に不可欠です。さらに、これは出産後の母親の精神的な安定を向上させます。

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米国CDC:
母乳育児中の女性に対するケア(医療者向け)2020年5月5日改定
CDC: Care for Breastfeeding Women
Interim Guidance on Breastfeeding and Breast Milk Feeds in the Context of COVID-19
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/care-for-breastfeeding-women.html

COVID-19流行中の母乳育児と母乳栄養の暫定ガイダンス
COVID-19に関するガイダンスは、地域の状況が急激に変化するのに対応して、州や地域の保健担当部門により改変されることがある。

キーポイント

Ÿ
  • 母乳はほとんどの乳児にとって最良の栄養源である。COVID-19の母親が母乳を通じてこのウイルスを感染させるかどうかは不明であり、得られるデータは限られているが、感染源となる可能性は低いことが示唆される。
  • Ÿ母乳育児を開始するかどうか、またどのように開始するか、そして、母乳育児を継続するかどうか、またどのように継続するかということは、母親が、自分の家族と医療提供者と協力して決定する。
  • ŸCOVID-19が確認された母親は、このウイルスが児に感染しないようにするために、手指衛生や布で顔を覆うなどすべての可能な予防措置を行う。
この暫定ガイダンスは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における母乳育児中の母親と母乳栄養児のケアを行う医療提供者にむけたものである。この暫定ガイダンスは、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2と他のウイルス性呼吸器病原体の伝播についての現在の知見に基づいている。CDCは、追加情報が得られた時点でこの暫定ガイダンスを更新する。出産直後の母乳育児については以下を参照のこと。
https://jalc-net.jp/covid19_jalc_contents.html#L15

SARS-CoV-2の経母乳感染

これらの考察は、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2とインフルエンザやSARSコロナウイルスといった他の重篤な呼吸器疾患の原因となるウイルスの感染についての現時点で入手可能な限定的なエビデンスに基づいている。
母乳はほとんどの乳児にとって最良の栄養源であり、多くの疾患に対する防御因子を提供する。母乳育児や搾母乳を与えることが推奨されないような事例 は稀である。COVID-19の母親が母乳を介してウイルスを感染させるかどうかは不明であるが、手に入る限られたデータでは、感染の可能性は低いと示唆されている。
https://www.cdc.gov/breastfeeding/breastfeeding-special-circumstances/contraindications-to-breastfeeding.html
低温殺菌された母乳バンクからの母乳は早産児のケアにおいて重要である。現在のところSARS-CoV-2における低温殺菌の効果に関する情報は入手できていないが、類似のウイルスはこの処理で不活性化される。COVID-19パンデミックにおいて、母乳バンクへの母乳の提供が滞ることがあるかもしれない。病院で母乳バンクの母乳の入手が困難になった場合、使用可能な母乳は、母乳栄養の効果が最も高い早産児を優先する。

COVID-19流行下での母親への母乳育児のガイダンス

母乳育児を開始するかどうか、またどのように開始するか、そして、母乳育児を継続するかどうか、またどのように継続するかということは、母親が、自分の家族と医療提供者と協力して決定する。
COVID-19が、疑わしい、可能性が高い、もしくは確認された 母親は、児にこのウイルスを感染させないためにすべての予防措置を講じるよう**カンセリングを受ける。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/covid-data/faq-surveillance.html
**https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/if-you-are-sick/index.html?CDC_AA_refVal=https%3A%2F%2Fwww.cdc.gov%2Fcoronavirus%2F2019-ncov%2Fhcp%2Fguidance-prevent-spread.html
母親が児に触れる前に、とりわけ手の汚れが目に見える場合は、石けんと水で手を洗う様に指示する。石けんと水が手に入らない場合、少なくとも60%のアルコールを含有した手指消毒剤を使う。加えて、直接授乳の時には母親は布で顔を覆う。搾乳器や手で搾乳する時、ポンプやボトルの部品に触る前に母親は上に示したように手を清潔にし、顔を布で覆う。母親に搾乳器の適切な洗浄・消毒方法の勧告を教える。可能であれば、COVID-19重症化のハイリスク** ではない健康な人に搾母乳を与えてもらうことを考慮する。
https://www.cdc.gov/healthywater/hygiene/healthychildcare/infantfeeding/breastpump.html
**https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/need-extra-precautions/people-at-higher-risk.html
医療従事者や初期対応者といったSARS-CoV-2暴露の潜在的なリスクの高い仕事に就いている母乳育児中の母親は、仕事中に搾乳することに追加の考慮が必要になる可能性がある。これらの母親はSARS-CoV-2感染のリスクがより高いという前提で、上に書かれているのと同じ勧告に従う必要がある。理想的には、雇用主は母乳育児中の被雇用者に搾乳のための、トイレではない個室を与える。妊娠中である、基礎疾患がある、もしくはCOVID-19重症化リスクのある人と同居している、医療従事者のための追加情報は、以下を参照。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/faq.html
SARS-CoV-2は表面に数時間から数日間存在するというエビデンスがある。勤務中に直接授乳したり搾乳したりする前に行う追加の予防手段について、母親と相談する場合、医療提供者は母親の個別の環境について話し合う(例:COVID-19が疑わしい、もしくは確認された人への暴露のレベル、個人防護具の入手しやすさと適正使用について、など)。現時点では、直接授乳や搾乳をする前に乳房を洗浄したり、搾母乳を入れる容器(哺乳びんや母乳バッグ)の外側を消毒するという手順が、SARS-CoV-2感染のリスクを減らすというエビデンスはない。母親は理論的に可能性のある暴露経路を最小限にするために、このような追加手順を考慮するかもしれない。職場の授乳室などの消毒に関する追加情報はこちらから。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/community/disinfecting-building-facility.html

COVID-19が確認された女性の母乳育児中の児
COVID-19が確認された母親の母乳育児中の児はCOVID-19疑いとみなされ、母の自宅隔離 の推奨期間とその後14日間、感染予防管理下に置かれる。同様のアプローチはCOVID-19が確認された別の人と濃厚接触した児にも適応される。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/disposition-in-home-patients.html
母親は、児がCOVID-19が確認された人とハイリスクのコンタクトをしたことを、児の主治医に伝えるように勧められる。

児の定期健診と授乳支援

医療提供者は乳児健診や生後24カ月までに受けるべき予防接種を可能ならば優先するように、勧められる。COVID-19の流行下での、母乳育児に関連する潜在的な課題、体重のチェックや黄疸の視診や検査によるアセスメントの必要性、ソーシャルディスタンスのストレスが存在するので、新生児のフォローアップ外来(訪問)が(遠隔ではなく)直接会って行われるためにできるだけの努力をするべきである。医療提供者は、地域のCOVID-19の疫学や実践環境の元で、患者、養育者、スタッフのSARS-CoV-2の暴露を最小限にする方法を考慮する。追加情報はこちらから https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/infection-control-recommendations.html 医療現場における感染予防と感染制御
遠隔医療(オンライン医療)といった代替手段も、母乳育児中の母子に対する授乳支援を提供する場合に考慮できる。COVID-19が疑わしいか確認された母や児を直接観察すべき授乳の支援者は、個人予防具(PPE)の使用法の勧告を含む、感染予防管理方法の勧告に従う。PPEが利用できない場合、授乳の支援者は自らもの感染暴露のリスクを減じ、母乳育児中の母子を安全にケアすることができるような代替手段を注意深く考慮する。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/guidance-hcf.html
Page last reviewed: May 5, 2020

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ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル(LLLI)のメディア・リリース(米国ノースカロライナ州)2020年4月16日改訂
(LLLIのメディアリリース改訂版の日本語訳へのリンクあり)
https://llljapan.org/infections2020.html
LLLI: Breastfeeding, Childbirth, and COVID-19
https://www.llli.org/breastfeeding-childbirth-and-covid-19/

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米国家庭医学会:新型コロナウイルス感染症と授乳についての声明
2020年4月15日
AAFP Statement on Breastfeeding and COVID-19
https://www.aafp.org/dam/AAFP/documents/patient_care/public_health/AAFP-COVID-Breastfeeding-Policy.pdf
(以下全文)
母乳は急性および慢性の疾患に対する防御因子を提供する。米国家庭医学会は、特定の医学的な状況を除き、大部分の乳児の栄養として母乳を推奨する。限られたエビデンスであるが、新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARS-CoV-2は、呼吸器の飛沫で広がり、今のところSARS-CoV-2は母乳中に検出されておらず、近縁のコロナウイルス感染症ウイルスも母乳中に見られていない。よって、米国家庭医学会は母乳育児と親と子のきずなを推進し、親と子を分離することをできる限り避けるよう勧告する。

親が新型コロナウイルスに暴露されたが無症状である場合、母乳育児は合理的な選択である。親はマスクをし、注意深く手指衛生を行うことで、呼吸器の飛沫に児が暴露されるリスクを減らすことができる。

親が新型コロナウイルス感染症の診断を受けたり、ウイルスに暴露されて症状を呈していたりする場合でも、直接授乳や搾母乳を児に与えることは、依然合理的な選択である。マスクや手洗いに加え、直接授乳以外の児との接触を制限したり、搾乳して他の新型コロナウイルス感染症を呈していない家族に与えてもらうことなどは、児の暴露を減らすことになろう。手動や電動の搾乳器で搾乳する場合、使用の度に親はポンプやボトルに触れる前に手を洗い、使用後は搾乳器を消毒する。

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WHO欧州:COVID-19と母乳育児・方針文書 2020年4月
WHO Europe:COVID-19 and breastfeeding Position paper
http://www.euro.who.int/__data/assets/pdf_file/0010/437788/breastfeeding-COVID-19.pdf

(全文を翻訳)
母乳は乳児の栄養源として最良のもので、コロナウイルスの感染が確定している、もしくは疑わしい母親においても同様です。感染している母親が以下に示すような適切な予防措置を講じている限り、赤ちゃんに直接授乳することは可能です。母乳は、呼吸器疾患を予防する抗体や免疫物質を含んでいます。小児の成長、発達、健康に対する重要性とともに、長じての肥満や非伝染性疾患の発症を減らすことに、母乳育児が役立つことを支持するエビデンスは、日々蓄積を続けています。

母乳で育てられている乳児のリスクは何ですか?

今までのところ、COVID-19の原因となるこのウイルスは、母乳の中からは見つかっていません。 しかし、この疾患は新しく、エビデンスは限られた研究に基づいています。このウイルスがどのように伝播するかや母親がこの疾患に罹患している場合の乳児のリスクはどのようなものかについて、公衆衛生の当局は情報を収集し続けています。限定的な研究ですが、COVID-19や他のコロナウイルス感染症(SARSコロナウイルス)の女性において、ウイルスは母乳中には見つかっていません。中国の武漢からの最近の報告では、妊娠中にCOVID-19であった6人の初乳を集め、検査したものがありました。すべての検体からウイルスは見つかりませんでした。しかし、この結果を確認するためにはさらなる研究を必要とします。伝染の一番のリスクは、感染した母親の気道分泌物と考えられています。大切なことは、今まで経験したところでは COVID-19の疾患経過は一般的に乳幼児において重症ではないということです。

リスクにはどのように対応したらよいですか?

WHOの現在のガイダンスでは、COVID-19の女性は、本人が希望すれば、以下の予防措置をとった上で、母乳育児が可能です。
  1. 鼻と口を覆うマスクをつけるなどの、呼吸器の衛生手段を行う。
  2. 赤ちゃんに触れる前後に石けんと水で20秒手を洗う。
  3. 触ったところを定期的にきれいにして消毒する。
母親の側にいることや、早期から母乳だけで育てることはどちらも赤ちゃんの成長を助けます。ですから、母親がCOVID-19に感染していたとしても、赤ちゃんを触ったり抱いたりすること、安全な呼吸器衛生の下での直接授乳、肌と肌とを触れ合わせて抱くこと、母子同室を勧めましょう。一般的に、WHOは、生後6か月間は母乳だけで育て、その後、栄養価が高く、健康的な食物を与えながら、2歳かそれ以上まで母乳育児を続けるよう、母親に勧告しています。

母親が直接授乳できないほど病気が重いときはどうしたらいいですか?

COVID-19のために母親の状態が悪く、赤ちゃんに直接授乳ができないときは、搾乳や母乳復帰(母乳育児の中断や非常に少量の乳汁分泌となった期間のあとで、母乳育児に復帰する過程)、認定された母乳バンクからのドナー母乳の使用に対する支援を受けましょう。

さらなる情報はWHOのウェブサイトへ
https://www.who.int/news-room/q-a-detail/q-a-on-covid-19-pregnancy-childbirth-and-breastfeeding

European Academy of Pediatrics
European Board & College Obstetrics and Gynecology
European Confederation of Primary care Pediatricians
European Pediatric Association

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WHO東地中海地域事務所:
新型コロナウイルス感染症アウトブレイク中の母乳育児  2020年4月
WHO EMRO:Breastfeeding advice during the COVID-19 outbreak
http://www.emro.who.int/nutrition/nutrition-infocus/breastfeeding-advice-during-covid-19-outbreak.html
母乳育児は新生児が病気になるのを防ぎ、乳児期や小児期を通じて病気になることから子どもを守るのを助けます。母乳育児は特に感染症に対して効果があります。なぜなら、お母さんから直接に抗体をもらうことによって、免疫が強化されるからです。新型コロナウイルス感染症が確認されるか疑わしい場合、直接授乳をしていたり、肌と肌とのふれあいをしているお母さんに症状があったら、予防措置をしましょう。

母乳育児中のお母さんへ
  • 次のような呼吸器衛生を行いましょう。直接授乳の時にもです。息切れのような呼吸器症状がある場合は、赤ちゃんのそばにいるときはマスクをします。
  • 子どもに触れる前後は石けんや消毒剤で徹底的に手を洗います。
  • 触れた場所を定期的にきれいにし、消毒します。
  • コロナウイルス感染症が重症だったり他の合併症があったりして、赤ちゃんの世話や直接授乳ができないときは、母乳を搾って赤ちゃんに安全にあげましょう。直接授乳も搾乳もできないほど症状が辛かったら、母乳復帰(しばらく授乳を休んで再開すること)、乳母(ほかの女性に赤ちゃんの授乳や世話をお願いすること)、ドナーミルク、といったやり方を探ることもできます。どの方法を用いるかは、文化や受け入れやすさ、利用のしやすさによるでしょう。
医療施設やスタッフ
  • 産科サービスや新生児ケアを提供している施設は、どの部署であっても、どのスタッフであっても、母乳代用品、哺乳びん、人工乳首、おしゃぶりを推進してはいけません。
  • お母さんや赤ちゃんの新型コロナウイルス感染症が疑わしかったり、可能性が高かったり、確認されたりしているかどうかにかかわらず、お母さんと赤ちゃんは一緒にして、肌と肌の触れ合いを行い、夜も昼も同室できるようにしましょう。特に生まれてすぐの母乳育児を確立する時期はそうしましょう。
カウンセリングと心理社会的支援
  • お母さんや赤ちゃんや子どもに、新型コロナウイルス感染症が疑わしかったり確認されたりしたときは、母乳育児のカウンセリングや基本的な心理社会的支援、栄養の実際的な支援を探しましょう。そうすれば適切にトレーニングされた医療の専門家や、地域に根差した母乳育児のピアカウンセラー(訳注:母乳育児の経験のあるカウンセラー)の支援を受けることができる可能性があります。
赤ちゃんの標準的な栄養ガイドライン
  • 生まれて1時間以内に母乳育児を始めましょう。
  • 6か月間は母乳だけ、生後6か月になったら適切で安全な補完食(訳注:離乳食)を始めましょう。
  • 母乳育児は2歳かそれ以上まで続けましょう。

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CDC:産科施設入院中の検討事項 2020年4月4日改定版
CDC:Considerations for Inpatient Obstetric Healthcare Settings
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/inpatient-obstetric-healthcare-guidance.html

改訂の要約(以下を反映:ガイダンスは更新して以下を明らかにしている。)
  • COVID-19が確認された、もしくは疑いのある、妊娠中の女性への訪問者、および、必要な支援をする人に関する検討事項。
  • 入院時にCOVID-19が疑われた妊娠中の女性、および入院中にCOVID-19の症状が出現した妊娠中の女性の検査を優先する
  • COVID-19が疑わしい児を他の健康な児から隔離する
  • COVID-19が確認された、もしくは疑いのある母親と児が一緒にいるのか出生後母子分離するのかはケースバイケースで、母親と医療チームがshared decision-making(情報を共有した上での決定)を用いて決める。

感染の予防と管理に関するこれらの検討事項は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症が確認されたり検査中であったりする妊娠中の女性に入院での産科的ケアを提供している保健医療施設のためのものである。入院での産科ケアには、産科トリアージ、分娩、回復、産後ケアが含まれる。

この情報は感染管理についてのCDCの暫定ガイダンス(より広範囲のもの)を適用する場合に、病院や臨床家の助けになるように作成された。
(Interim Infection Prevention and Control Recommendations for Patients with Confirmed Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) or Persons Under Investigation for COVID-19 in Healthcare Settings).
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/infection-control/control-recommendations.html

産科や新生児の病棟の設備は様々であるため、それぞれの施設ごとにCOVID-19の原因ウイルスの感染予防に必要な空間やスタッフ配置を考慮する。これらの検討事項は以下のものを含む。
COVID-19の感染が確認されたり検査中であったりする妊娠中の女性の適切な隔離;その部署のすべての医療スタッフに対する、感染管理の実施や個人防護具(PPE)の使用や取り扱いの正確な遵守を含む、基本的なものや再教育のトレーニング;ケアのすべての場における充分で適切な個人防護具(PPE)の供給;新生児をCOVID-19のリスクからも守る方法

これらの検討事項はCOVID-19の原因となるウイルス感染についての現時点での入手可能な限定的なエビデンスや、インフルエンザ、SARSコロナウイルス、MERSコロナウイルスを含む重症呼吸器感染症の原因となるウイルスに関する知見に基づいている。以下のアプローチは意図的に慎重なものになっている。いずれ追加情報が得られ、産科入院中のヒトーヒト感染予防についての推奨が整うであろう。

入院前の検討事項
  • COVID-19感染が確認されたか疑わしい妊娠中の女性は到着前にそのことを産科施設に連絡する。そうすれば産科施設は適切な感染管理の準備を行うことができる。それは最適な分娩室の準備の選択、感染予防の保証、物品や個人防護具(PPE)が適切に配置されているか、その患者への感染管理のケアにかかわる医療スタッフへの到着前の周知と訓練、である。
  • COVID-19が確認されたり検査中であったりする妊娠中の女性が救急車で到着する場合、運転手は受け入れの救急担当部署や医療施設に連絡を取り、事前に同意した地域または地区の移送手順に従う。追加情報は以下を参照のこと。
    Interim Guidance for Emergency Medical Services (EMS) Systems and 911 Public Safety Answering Points (PSAPs) for COVID-19 in the United States.
  • 医療スタッフは、COVID-19が確認されたか検査中の妊娠中の女性の到着予定を迅速に施設の感染管理部門に連絡する。
入院中
  • 医療施設はCOVID-19感染が確認されたか検査中の妊娠中の女性の入院に関する感染管理の実践勧告を確実に行う。これは下記に合致する。
    Interim Infection Prevention and Control Recommendations for Patients with Confirmed Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) or Persons Under Investigation for COVID-19 in Healthcare Settings
  • 産科ケアを提供するすべての保健医療施設は、全職員が適正にトレーニングされ、感染管理の実践勧告の介入を確実に実施しなければならない。
    個人個人の医療スタッフ全員が感染管理器具の使用法を理解し、遵守できることが保証される。
  • 入院して産科ケアを提供する保健医療施設は、COVID-19が確認されたか検査中の妊娠中の女性への訪問者(訳注パートナー、ドゥーラなども含む)を制限する。
    • 訪問者は妊娠の女性の心地よさやケアに結び付く人(エモーショナル・サポートを提供できる者)に制限する。
      • 市中感染拡大により、施設は訪問者を制限し、必要な一人だけに限定する可能性がある。その一人は入院中ずっと同じである可能性もある。
      • 患者と訪問者の相互作用の代替として、ビデオ通話アプリのようなものが追加の支援者に関しては、奨励できるかもしれない。
    • 分娩室に入室を許可された訪問者は、急性呼吸器疾患の症状の有無をチェックされ、呼吸器症状や発熱がある場合は入室を許可されない。
    • 保健医療施設を訪問する訪問者は、マスク(布のマスクを含む)の使用法と現在の施設訪問方針に従った個人防護具(PPE)の適切な使用法を伝えられる。
      加えて、訪問者は患者の部屋のみを訪れて、新生児室を含む施設の他の場所には行かないよう指示される。
  • 入院時にCOVID-19が疑わしい、もしくは入院中COVID-19が疑われる症状を呈した妊娠中の女性は優先的に検査を受ける。
  • 分娩時にCOVID-19が確認されている女性から生まれた児はCOVID-19疑いの児とみなされる。なので、COVID-19疑いの児は健康な児から隔離され、以下に従ってケアされるべきである。
    Interim Infection Prevention and Control Recommendations for Patients with Suspected or Confirmed COVID-19.

母子接触

母と新生児の肌と肌との触れ合いには多くの利点があることはよく知られている。母親と児のきずなを形成し、母乳育児の可能性を高め、血糖値を安定させ、児の体温を維持する。感染性の呼吸器分泌物に接触することによる出生後の新型コロナウイルスの感染が懸念されるが、乳児の感染のリスクや新型コロナウイルスの臨床的重症度は明らかにされていない。

COVID-19が確認された、もしくは疑わしい母親と児が一緒にいるのか出生後母子分離するのかはケースバイケースで、母親と医療チームがshared decision-making(情報を共有した上での決定)を用いて決める。
この決定における検討事項
  • 母親と児の病態
  • 新型コロナウイルスの検査結果 母親(確認された、疑わしい)と児(児の検査が陽性なら隔離の必要性はなくなる)
  • 直接授乳の希望
  • 隔離か同室かに対する施設の対応能力
  • 退院に際して隔離が維持できるか
  • COVID-19が確認された、もしくは疑わしい母親と児の一時的な母子分離のリスクと利点
母子分離が施行されない場合、母親から児への感染リスクの低減する方法には以下が含まれる。重ねて言うが、shared decision-making(情報を共有した上での決定)を行うこと。
  • 物理的な壁(例:母親と児の間のカーテン)といった工学的な管理も利用し、児を6フィート(訳注:約1.8m)以上母親から離す。
  • 母親が直接授乳を選択した場合、マスクを着用し手指衛生をそれぞれの授乳の前に行う。
  • 母親が母乳育児を選択せず、児をケアする健康な大人が部屋の中にいない場合、COVID-19感染が確認されたか疑わしい母親はマスクを着用し、手指衛生1)をそれぞれの授乳や新生児との濃厚接触の前に実施する。
  • マスクは新生児と接触する際は使用を続ける。これらの実践は、母親が保健医療施設の感染経路別予防策の対象である間は続ける。
COVID-19が確認された、もしくは疑いのある母親と児を、感染のリスクを下げるために一時的に別室にする決定がなされた場合は、以下を考慮する。
母乳育児
  • 一時的な隔離が実施された場合、母乳育児を希望する母親は母乳産生の確立と維持のために搾乳をすることが奨励される。可能であれば、高性能の搾乳器が与えられるべきである。搾乳に先立ち、母親は手指衛生を行う。1)毎回の搾乳終了ごとに、乳汁に触れたすべての部品は徹底的に洗浄し、ポンプ全体は器機の説明書に従い、適切に消毒する。搾母乳は健康な養育者が新生児に与える。
  • 母親のCOVID-19が確認されたか疑わしく、母子同室を行なっていて、母親が直接授乳を希望する場合、母親はマスクを着用し、授乳ごとに手指衛生を行う。
脚注
(1)手指衛生は、アルコール含量60%から95%の手指消毒剤の使用を含み、以下の場合に行う。すべての患者との接触の前後、潜在的な感染物質との接触の前後、手袋を含む個人防護具(PPE)の着衣前と脱衣後。手指衛生は20秒以上の石鹸と水での洗浄でもよい。手指が目に見えて汚染された場合、石鹸と水による洗浄を行ってからアルコール含有手指消毒剤を用いる。

追加情報
  • Evaluating and Reporting Persons Under Investigation (PUI)
  • Resources for Hospitals and Healthcare Professionals Preparing for Patients with Suspected or Confirmed COVID-19
  • Interim Infection Prevention and Control Recommendations for Patients with Confirmed Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) or Persons Under Investigation for COVID-19 in Healthcare Settings
  • World Health Organization Interim Guidance on Clinical Management of Severe Acute Respiratory Infection When Novel Coronavirus (nCoV) Infection Is Suspectedexternal icon

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イタリア新生児学会:
母乳育児と新型コロナウイルス感染症―暫定的に適応する方針文書(欧州新生児周産期学会承認) 2020年4月3日
The Italian Society on Neonatology:Breastfeeding and coronavirus disease‐2019: Ad interim indications of the Italian Society of Neonatology endorsed by the Union of European Neonatal & Perinatal Societies
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/mcn.13010

(抄録より母乳育児部分のみ翻訳)
母親が事前にCOVID-19陽性確認、もしくは検査中であり、分娩時に無症状か非常に軽微な症状であった場合は、母子同室は可能であり、厳密に感染予防の方策を取った上で直接授乳も可能である。一方、COVID-19の母親の病状が重く、新生児のケアができない場合は、児は母子分離の上、新鮮な搾母乳を与える。その搾母乳に低温殺菌は不要である。人乳にはCOVID-19のウイルスは含まれないとされているからである。

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中国:
COVID-19アウトブレイク下の授乳に関する方針(3文献)2020年2~4月
1、Chen D, Yang H, Cao Y, et al. Expert consensus for managing pregnant women and neonates born to mothers with suspected or confirmed novel coronavirus (COVID-19) infection.Int J Gynaecol Obstet. 2020 May;149(2):130-136. doi: 10.1002/ijgo.13146. Epub 2020 Apr 1.(20-Mar-20)
https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ijgo.13146

新生児ケア:COVID-19感染妊婦から生まれた新生児の臍帯結紮遅延は推奨されておらず、児は直ちに沐浴して乾かす。SARS-CoV感染妊婦に関する以前の限られたデータでは、母親から胎児への垂直感染の可能性は低いことが示されている。COVID-19の垂直感染については1例が生後30時間の新生児で報告されている。したがって、COVID-19感染が疑われるか診断された母親の新生児は出生後14日間隔離し、感染の臨床症状を注意深く監視する必要がある。母親と新生児は、両方が感染解除されるまでは別々に隔離する必要がある。搾乳する場合は搾乳前に乳房を洗浄し、厳格な手指衛生を行う必要がある。現在COVID-19ウイルスが母乳に存在するかどうかは不明で、母乳育児は推奨されていない。授乳が許可された場合、服薬の調整は必要ない。母親は定期的に搾乳して分泌を確保すること、必要に応じて心理的支援を受ける必要がある。

2、Pediatric Committee, Medical Association of Chinese People's Liberation Army, Editorial Committee of Chinese Journal of Contemporary Pediatrics.
Perinatal and neonatal management plan for prevention and control of SARS-CoV-2 infection (2nd Edition). CJCP 2020, Vol. 22 Issue (3): 195-198, DOI: 10.7499/j.issn.1008-8830.2020.03.003 (Mar-20)
http://www.zgddek.com/EN/abstract/abstract24946.shtml

重症妊婦の新生児治療プロセス:母親は主に感染部門で治療され、新生児は14日間隔離することが推奨される。母乳がSARS-CoV-2核酸検査で陰性であり、母が14日間観察された後母乳育児を検討することができる。
ハイリスク新生児の管理原則:医学的観察のために、14日間単一の部屋に置かれる必要がある(臨床経過、臨床検査などにより、感染を明確に除外できる場合、観察はもっと早く終了できる)。リスクを軽減するために、感染母体の母乳は一定期間使用しない。ドナー乳を使用する場合は、使用前に低温殺菌する必要があるが、母親には搾乳を強く勧める必要がある。

3、Wang L, Shi Y,Xiao T,et al.; on behalf of the Working Committee on Perinatal and Neonatal Management for the Prevention and Control of the 2019 Novel Coronavirus Infection、Chinese expert consensus on the perinatal and neonatal management for the prevention and control of the 2019 novel coronavirus infection (First edition). Ann Transl Med 2020;8(3):47. doi: 10.21037/atm.2020.02.20 (06-Feb-20)
http://atm.amegroups.com/article/view/35751/html

母乳:2019-nCoVの垂直感染の可能性は否定できない。2019-nCoVが確定しているまたは疑われている母親の母乳は児に与えない。 疑われるか診断された母親でも母乳検査で陰性の場合には、児に母乳が与えられるべきである。潜伏期間中にウイルスが乳汁中に排泄される可能性があるため、2019-nCoVのスクリーニング後のドナー乳の使用を検討することができる。


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国際助産師連盟 公式声明:
出産における女性の権利は、コロナウイルスパンデミック中も支持されなければなりません 2020年3月29日
ICM:Women’s Rights in Childbirth Must be Upheld During the Coronavirus Pandemic
https://www.internationalmidwives.org/icm-news/women’s-rights-in-childbirth-must-be-upheld-during-the-coronavirus-pandemic.html

(全訳)
国際助産師連盟(ICM:The International Confederation of Midwives)は、COVID-19パンデミックに際して、女性、赤ちゃん、助産師の人権が侵害されていることを懸念しています。パンデミックに対応して、多くの国で妊娠、出産、産後ケアの管理のための不適切なプロトコルが導入されています。これらのプロトコルは、最新で信頼のおけるエビデンスに基づいておらず、女性と赤ちゃんにとって有害です。
COVID-19パンデミックにおける妊娠中の女性と赤ちゃんのケアに関する、信頼できる情報源からの推奨と最新の研究によるエビデンスに基づいて、ICMは助産師のための助言を作成しました。出産の一連の過程で、女性と赤ちゃんのケアに携わる他の医療専門家や保健サービスのマネージャーのためのものでもあります。妊娠・出産期の女性に対するケアについてのエビデンスが続々と出て来る状況で、コロナウイルスパンデミック中の妊娠と出産のためのプロトコルが、エビデンスに基づいていて、すべての女性と新生児の人権を擁護するものであることが必須です

  1. 妊娠中の女性は、他のすべての成人と同じ予防措置を取る必要があります:定期的かつ徹底的な手洗い、肘への咳やくしゃみ、物理的距離、可能な限り自宅にいること。
  2. すべての女性と新生児は、思いやり、尊厳と敬意をもって扱われる権利を持っています。
  3. すべての女性は、情報を得、同意をし、同意を拒否し、選択と決定を尊重し、支持される権利を有します。これには、分娩と出産の間、一緒に選択する誰かを持つ権利が含まれます。
  4. 最低でも、無症状の出産付き添い人(妊娠している女性のパートナーや母、姉妹、友人など、その女性が出産に立ち会って欲しいと希望する人)が一人、分娩、出産、産後を通してその女性といっしょにいることを許可されるべきです。出産付き添い人による継続的な支援は、自然な経腟分娩を増加させ、分娩時間を短縮し、帝王切開および他の医療介入を減少させます。
  5. 産科適応のない分娩誘発、帝王切開、鉗子分娩などのルチンの医療介入は母親と新生児の合併症の可能性を高め、入院期間を延長させ、病院での人員配置の負担を増大させ、そのすべてがCOVID-19への暴露の可能性を高め、母親と家族にとっての出産に対する肯定的な経験を損ないます。
  6. 現在、疑わしいか確認されたCOVID-19の場合に、女性が経膣分娩できないことを示唆したり、帝王切開がより安全だと示唆したりするエビデンスはありません。女性の出産方法の選択は、本人の臨床的ニーズを考慮しながら、可能な限り希望に沿うようにし、尊重されるべきです。
  7. 保健医療システムが自宅出産を支援できる国では、正常な妊娠経過で、認定助産師の支援を受けられる女性は、適切な救急器具があれば、COVID-19を発症している多くの患者(産科以外の患者であっても)がいる病院よりも、自宅または一次産科ユニット/出産センターで出産する方が安全である可能性があります。
  8. COVID-19は、一部の人の便から検出されており、赤ちゃんへの感染を減らすために、COVID-19の陽性反応を示した妊婦では水中出産は推奨されません。
  9. COVID-19が乳児に経母乳感染するというエビデンスはありません。
  10. 母乳育児中の女性は、呼吸器ウイルスが母乳を介して伝染することを示すエビデンスがないので、母子分離されるべきではありません。母親は、以下の必要な予防措置が適用されている限り、母乳育児を続けることができます。
    1. 症状があっても、母乳育児が可能なほど体調のよい母親は、新生児の近く(授乳中を含む)にいるときはマスクを着用し、接触前後に手を洗い、汚染されたすべての表面を清潔にして消毒する必要があります。
    2. 母親の病気が重く直接授乳ができない場合、清潔なカップやスプーンを用いて新生児に与えられるように、搾乳を行うように勧められ、支援されるべきです。マスクの着用、厳密な手指衛生、搾乳した後の全ての搾乳器具や硬い表面の消毒が不可欠です。
    3. 搾母乳は、すぐに乳児に与えられなければ、後で使用するためにラベルを貼って、保存することができます。疾病予防管理センター(CDC)の推奨によれば、搾母乳をは室温で最大4時間、冷蔵で4日間(ドアポケットに入れない)、冷凍庫保管で6~12ヶ月間保存可能です。
    4. 早産または疾患を持つ新生児は、さらなる医療支援を必要とする場合があります。しかし、すべての新生児は、母親または親とともに居る権利があります。母親は、インフォームドコンセントなしに母子分離されるべきではありません。母親と赤ちゃんは、赤ちゃんが小さい、早産、またはさらなるケアを必要とする病状で生まれた場合でも、常に一緒にいる権利を有します。
  11. 産科サービスは、重要で中核的な保健サービスとして引き続き優先されるべきです。助産師によるケアのひな型の継続は、女性と出産付き添い人に接触する支援者の人数を減らし、院内にCOVID-19が広がる可能性を減らします。助産師によるケアの継続を奨励し、提供する必要があります。
  12. 助産師は、地域社会に拠点を置く場合でも病院に拠点を置く場合でも、妊娠・出産期の女性とその赤ちゃんに重要なサービスを提供する必要不可欠な医療従事者です。コロナウイルスパンデミック中に公衆衛生または一般診療の分野で働くために産科サービスから離れて助産師が働くことは、母親と新生児の合併症を増加させる可能性が高くなるでしょう。
  13. 助産師は、すべての個人防護具(PPE)の十分な入手、衛生的で安全で敬意のある労働環境に対する権利を有します。
  14. 家族計画、緊急避妊、中絶などの性生殖医療は、中核的な保健サービスとして引き続き利用可能であるべきです。
資料
この文書は国際助産師連盟(ICM)によるもので、日本ラクテーション・コンサルタント協会が許可を得て翻訳したものであり(2020年7月17日)、ICMは翻訳の正確さには責任を負いません。

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日本新生児成育医学会:
新型コロナウイルス感染症に対する出生後早期の新生児への対応について第3報 2020年3月23日
http://jsnhd.or.jp/pdf/202000323COVID-19.pdf

(一部を紹介)
出生後の新生児の管理について

現時点において、新生児が新型コロナウイルス感染により重症化するかどうかは明らかではない。しかし、コロナウイルス感染に関連した新生児への感染を防ぐ対応(主に隔離および飛沫・接触感染予防策)をすることが推奨される。
  1. 母親が新型コロナウイルス感染症を発症し分娩に至った、あるいは、感染症症状消 失後まもなく分娩に至った場合
    • 母から子へウイルスの飛沫・接触感染を防ぐために、分娩後より一時的に母と子は分離し、母親は個室隔離、子は保育器隔離またはコホート隔離を行う。児は可能であれば、陰圧管理個室が望ましい。十分なスペースがない場合は、他児との間をパーテーション等で分離する。医療従事者は、フェイスマスクやゴーグル等も使った飛沫・接触感染予防策を十分講じ、ケアや治療を行う。
    • 母児同室の希望がある場合は、母親や家族と十分に話し合い検討する。
    • 児の症状の観察とバイタルサインのモニタリングを行い、院内の感染対策チームや保健所等に連絡し、ウイルス学的検査を検討したのち、適切な対症療法を行う([文献]に新生児呼吸障害に対するコメント、小児例では[文献]に症状、検査、治療が記載されている)。
  2. 母親が分娩後~産院退院までに発症した場合(カンガルーケアや直接授乳などすでに濃厚接触している場合)
    個室にて、直ちに飛沫・接触感染予防策を講じて母子同室による隔離を行う。その際、児を保育器に収容する等の予防策を講じ、母子間の飛沫・接触感染の可能性につき十分注意を払う。可能であれば、陰圧管理個室が望ましい。 (中略)

母乳の取り扱い・直接授乳について

母親かが感染症状を呈している場合は、接触や飛沫を介して児が感染するリスクがある ので、現時点においては、直接授乳は避けることが望ましい。ただし、母乳はできるだ け搾乳し、児に与える。
日本小児科学会は、母親が解熱し状態が安定していれば、手洗い等を行った上で搾乳により母乳を与えることは可能としている[文献]。CDCは母乳を搾乳で与えることを推奨 し母親の十分な飛沫・接触感染対策を行えば、直接授乳も可能としている[文献]。中国か らのエキスパートコンセンサスでは、母乳中のコロナウイルス PCR検査で陰性の確認をしてから母乳を与えることを推奨している[文献]。新型コロナウイルス感染に関連した母乳の情報は現時点で非常に少ない。そのため、今後の知見やデータにより改訂する 必要がある。
現時点で、いつから直接授乳のための母子接触が可能かの明確な基準はなく設けることはできないが、母親の症状が消失し、感染のリスクが低くなったと判断された時から行うことを勧める。

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ILCAの声明:COVID-19 パンデミック中の母乳育児支援 2020年3月 18日
ILCA Statement on Breastfeeding and Lactation Support During the COVID-19 Pandemic
https://lactationmatters.org/2020/03/18/ilca-statement-on-breastfeeding-and-lactation-support-during-the-covid-19-pandemic/
日本語訳は下記
https://ilca.org/wp-content/uploads/2020/04/ILCA-Statement-for-COVID-19_Japanese.pdf
注:ILCA- International Lactation Consultant Association

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WHO暫定ガイダンス:
COVID-19感染症が疑われる重症急性呼吸器感染(SARI)の臨床管理;  2020年3月13日
Translated from “Clinical management of severe acute respiratory infection (SARI) when COVID-19 disease is suspected: interim guidance, 13 March 2020 “. Geneve:
World Health Organization; 2020. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO

https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/331446/WHO-2019-nCoV-clinical-2020.4-eng.pdf

訳注:この暫定ガイダンスの翻訳は日本ラクテーション・コンサルタント協会(JALC)により行われたもので、WHOの承認を得た正式な訳ではありません。また、この暫定ガイダンスは15の章から成り、様々な介入について「やるべきこと」「やるべきではないこと」「考慮すべきこと」などのシンボルマークがつけられています。JALCは13章のみを翻訳しましたが、13章に述べられた介入は、いずれも「やるべきこと」のマークがついています。
Do: やるべきこと:
この介入は有益である(強く推奨)。もしくは、この介入はベスト・プラクティス・ステートメント(介入が適切であることが予想されるが、利益と害のバランスが不明で、エビデンスの評価が困難なもの)である。
Don’t: やるべきでないこと
この介入は有害であることがわかっている。
Consider: 考慮すべきこと。
この介入は、ある患者には有益かもしれない。もしくは、この介入を考慮する場合には注意が必要かもしれない。

13. COVID-19に感染している母親と乳児のケア:IPC(感染予防と制御)と母乳育児

COVID-19感染が確定した乳児の報告は相対的に少ないが、報告例は軽症として経験されている。垂直感染は報告されていない。COVID-19陽性の6人の母親の羊水、および、帝王切開で出生した新生児の臍帯血と咽頭ぬぐい液は、RT-PCR検査ですべてCOVID-19ウイルス陰性であった。母親の初乳を検査したが、それもすべてCOVID-19ウイルス陰性であった。(68.69)
68. Zhu H, Wang L, Fang C, Peng S, Zhang L, Chang G et al. Clinical analysis of 10 neonates born to mothers with 2019-nCoV pneumonia. Transl Pediatr. 2020;9(1):51-60. Epub 2020/03/11. doi: 10.21037/tp.2020.02.06. PubMed PMID: 32154135; PMCID: PMC7036645.
69. Chen H, Guo J, Wang C, Luo F, Yu X, Zhang W et al. Clinical characteristics and intrauterine vertical transmission potential of COVID-19 infection in nine pregnant women: a retrospective review of medical records. Lancet. 2020;395(10226):809-15. Epub 2020/03/11. doi: 10.1016/S0140-6736(20)30360-3. PubMed PMID: 32151335.

母乳育児は、新生児期以降の乳児期、小児期の疾病罹患率や死亡率を減少させる。感染症についてはとりわけ防御効果が強い。これは、抗体やその他の抗感染因子が直接母乳を介して移行することと、免疫能や免疫記憶が長期にわたって移行することによる。WHOの「新生児の必須ケアと母乳育児」参照 ( https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/107481/e79227.pdf )。
よって、乳児栄養標準ガイドラインにIPC(感染予防と制御)のための適切な予防措置をつけ加えるべきである。

<やるべきこと>
COVID-19感染が疑われるか可能性が高い、もしくは確定した母親から生まれた新生児は、IPCに必要な予防措置を施行した上で乳児栄養標準ガイドラインに沿って栄養する。

<注>母乳育児は生後1時間以内に開始する。生後6か月間は母乳だけで育て、安全で十分な補完食を生後6か月から適切に食べさせながら、2歳かそれ以降まで母乳育児を続ける。量依存性効果があるため、また、より早い時期に母乳育児を始めることがより大きな効果を生むため、母乳育児を生後1時間以内に開始できなかった母親は、母親と児が可能になった時点でできるだけ早く母乳育児を支援されるべきである。これは、母親が帝王切開で出産したり、麻酔を受けたり、医学的に安定しなかったりして、出生後1時間以内に母乳育児が開始できなかった場合にあてはまる。この推奨は2002年の第54回世界保健総会WHA54.2決議としてすべての乳児に最適な栄養を推進するために承認された「乳幼児の栄養に関する世界的な運動戦略」と一致している。
(英語版: https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/42590/9241562218.pdf
日本語版: https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/42590/9241562218-jpn.pdf?sequence=49

<やるべきこと>
COVID-19感染が確定していたり疑わしかったりするすべてのケースと同様に、症状のある母親は、母乳育児中であっても、肌と肌とのふれあいを行なっていても、カンガルー・マザー・ケアを行っていても、授乳中を含め、以下のことを行う。
呼吸器衛生(例えば、母親に呼吸器症状があれば、児の側にいるときはマスクをする)を行う、児に触れる前後に手指衛生を行う、症状のある母親が触れた表面を定期的にきれいにし消毒する、などである。

<やるべきこと>
COVID-19感染が確定されたり疑わしかったりする場合であろうとなかろうと、母乳育児のカウンセリング、基礎的な心理社会的支援、実践的な栄養支援をすべての妊娠中の女性と乳幼児のいる母親に行う。

<注1>すべての母親が、母乳育児を開始し、確立し、よくある母乳育児上の困難に対応することができるようになるための、実践的な支援を受けられるようにする。それにIPC手技を含める。この支援は、母乳育児について適切にトレーニングされた保健医療従事者や地域に根差したレイ・カウンセラー(研修を受けた一般人)やピア・カウンセラー(研修を受けた同じ立場の人)が提供する。「ガイドライン:母乳育児の実践を改善するための女性へのカウンセリング」 ( https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/280133/9789241550468-eng.pdf )と「WHOガイドライン:母親と新生児へのサービスを提供している施設における母乳育児の推進、保護、支援」( https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/259386/9789241550086-eng.pdf )を参照のこと。

<やるべきこと>
COVID-19に感染している母親が重篤であったり他の合併症があったりして、児の世話ができなかったり直接授乳ができなかったりする場合は、搾乳を推奨して支援し、適切なIPC手技を適応しつつ児に安全に搾母乳を与える。

<注>母親があまりに重篤で直接授乳や搾乳ができない場合、母乳復帰、乳母、母乳バンク、適切な母乳代用品の実行可能性を、文化的背景、母親の受容、サービスの利用のしやすさなどを考慮し、検討する。母親と新生児へのサービスを提供している施設のどの部署においてもどのスタッフによっても、母乳代用品や哺乳びんと人工乳首、おしゃぶりのプロモーションはなされるべきではない。保健医療施設とスタッフは、哺乳びんと人工乳首ほか「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」(訳注:日本語版 https://www.jalc-net.jp/dl/International_code.pdf )とその後の世界保健総会の関連決議の適用範囲となっている製品を母乳育児中の児に与えてはならない。この推奨は「WHOガイダンス:母乳代用品の使用が許容できる医学的理由」 ( https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/69938/WHO_FCH_CAH_09.01_eng.pdf;jsessionid
=709AE28402D49263C8DF6D50048A0E58?sequence=1
) と矛盾しない。

<やるべきこと>
COVID-19感染が疑わしかったり、可能性が高かったり確認されたりした場合であっても、母親と児が一緒にいられるようにするべきであり、特に出産直後の母乳育児を確立する間、肌と肌との触れ合いを実施し、カンガルー・マザー・ケアを行い、夜も昼も母児同室を行う。

<注>母親と児にサービスを提供する施設にいる間、母乳育児の妨げを最小限にするためには、母親が希望するだけ十分に、頻繁に、長く授乳できるようにするという施設での実践を必要とする。
「WHOガイドライン:母親と新生児にサービスを提供する施設の母乳育児の保護、推進、支援」 ( https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/259386/9789241550086-eng.pdf ) を参照のこと。

<やるべきこと>
親や養育者は、児と分離される必要があるかもしれず、児も主養育者と分離される必要があるかもしれないが、適切に訓練された医療従事者や非医療従事者からの精神衛生や心理社会的支援につながるべきである。

<注>産前産後の女性の一般的な精神疾患の有病率の高さと、対象としたプログラムへの受容性を考慮すると、その人たちへの介入はもっと広範囲に実施される必要がある。メンタルヘルスの問題を治療するサービスに加えて、予防するサービスも利用できるようにする。この推奨は「2020緊急事態における精神衛生と心理社会的支援IASC参考団体―COVID-19アウトブレイクの精神衛生と社会心理的側面に対応する短報 version1.1」( https://interagencystandingcommittee.org/system/files/2020-03/
MHPSS%20COVID19%20Briefing%20Note%202%20March%202020-English.pdf
)と「WHOガイドライン:小児期初期の発達の改良」 ( https://www.who.int/publications-detail/improving-early-childhood-development-who-guideline ) と矛盾しない。

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新型コロナウイルス(COVID-19)に対するABMの声明 2020年3月10日
ABM STATEMENT ON CORONAVIRUS 2019 (COVID-19)
ABM: The Academy of Breastfeeding Medicine
https://www.bfmed.org/abm-statement-coronavirus

ご注意ください。
COVID-19感染についての情報は日々更新されています。ABMの勧告は現時点(この声明の発表日)における報告の情報に基づいています。最新のガイダンスはCDCやWHOのような情報源をご参照ください。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/specific-groups/pregnancy-guidance-breastfeeding.html
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019

COVID-19の経母乳感染
COVID-19がどのようにひろがるかについては、不明なことが多い。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/about/transmission.html
人から人への広がりは、インフルエンザや他の呼吸器の病原体が広がるように、主に感染者が咳やくしゃみをした時の呼吸器飛沫によって生じると考えられている。COVID-19 や、こちらもコロナウイルスであるSARSコロナウイルスに感染した女性の限られた報告では、このウイルスは母乳中には検出されていない。しかしながら、COVID-19が経母乳感染するかどうかは不明である。

母乳は多くの疾患に対する防御作用を持つ。母乳育児や搾母乳を与えることが例外的に推奨されない場合は稀である。
https://www.cdc.gov/breastfeeding/breastfeeding-special-circumstances/contraindications-to-breastfeeding.html
CDCは、類似のコロナウイルスであるSARSやMARSについては、感染中の母乳育児について特化したガイダンスを発表していない。COVID-19と同様な状況である、母親がインフルエンザに感染している場合について、CDCは、児へのウイルス感染予防策を取りながらの直接授乳や搾母乳を与えることを勧告している。
https://www.cdc.gov/breastfeeding/breastfeeding-special-circumstances/maternal-or-infant-illnesses/influenza.html
呼吸器ウイルスの経母乳感染の率が低いことを考慮し、WHOはCOVID-19 に感染した母親も母乳育児ができると宣言している。
https://www.who.int/publications-detail/
home-care-for-patients-with-suspected-novel-coronavirus-(ncov)-infection-presenting-
with-mild-symptoms-and-management-of-contacts

COVID-19 と母乳育児に関する現在のCDCのガイダンスはこちらから。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/specific-groups/pregnancy-guidance-breastfeeding.html

自宅で
COVID-19の感染が確認された、もしくは、COVID-19の検査中で症状のある母親は、児にウイルスを感染させないために、すべての可能な予防措置を講じるようにする。それは、児に触る前には手を洗う、可能ならば授乳中はマスクを着用するなどである。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/guidance-prevent-spread.html
手動や電動の搾乳機で搾乳する場合、母親は搾乳機やボトルの部品を触る前に手を洗い、使用後は推奨に従い適切に搾乳機を洗浄する。
https://www.cdc.gov/healthywater/hygiene/healthychildcare/infantfeeding/breastpump.html
可能であれば、健康な人に児の世話をしたり搾母乳を与えてもらったりすることを考慮する。

手指衛生は、アルコール含有60%から90%の手指消毒剤の費用を含み、以下の場合に行う:
感染した母親や感染の可能性のある用具の使用の前後、手袋を含む個人防護具(PPE)の着衣前と脱衣後。手指衛生は20秒以上の石鹸と水での洗浄でもよい。手指が目に見えて汚染された場合、石鹸と水による洗浄を行ってからアルコール含有手指消毒剤を用いる。

COVID-19が確認された場合は、他の家族や友人、隣人から隔離(家庭内隔離)されるべきで、乳児も含むが、授乳は例外である。(訳注:家庭内隔離の一例 https://publications.msss.gouv.qc.ca/msss/fichiers/2019/19-210-08A.pdf) 母親が搾乳をして母乳分泌維持をしている場合、理想的には、感染していない大人が児のニーズにあったケアを行い、搾母乳を児に与えることが望ましい。咳や気道分泌物が劇的に改善するまで少なくとも5-7日間は、母親は上に書かれたような厳重な手洗いとマスクの着用を実施する。家庭内隔離をいつ中止するかの決断には、医療保健専門家や医療施設に相談するのが有用かもしれない。

病院で
母乳育児を行うかどうかの選択権は母親と家族にある。
母親が元気で、ウイルスに暴露されただけであったり、軽い症状で検査中だったりした場合、母乳育児は合理的な選択で、母の気道分泌物が児に暴露するのを軽減するのにマスクやガウンを使用することや厳重な手洗いをすることは比較的容易である。

母親がCOV-19に感染している場合は、もっと心配かもしれないが、直接授乳や児に搾母乳を与えることは、依然として合理的である。母親の病状によるが、児の気道分泌物への暴露を制限するためには、さらに注意深く推奨を守るようにする必要があるかもしれない。

母乳育児中の母親と児の同室/異室に関して、病院には選択肢がいくつかある。
  1. 母子同室(母親と児が同じ部屋にいて、部屋に他の患者がいない)
    母親と児のコットは6フィート(訳注:約1.8メートル)以上離す。児に触る前には手を洗い、児に触ったり直接授乳したりする間はマスクを着用するといったウイルス感染予防策を講じる。理想的には、健康な別の大人が児の世話をするために部屋にいることが望ましい。
  2. 一時的な分離
    母親がCOVID-19 感染で状態が悪く、病院での医学的ケアを必要とする場合に行う。母親が母乳育児を予定している場合や、継続を希望する場合は、乳汁分泌の確立や維持のために搾乳を勧める。可能なら、専用の搾乳器を与える。搾乳前には、母親は手指衛生をおこなう。搾乳ごとに母乳に触れるすべての部品は入念に洗浄し、搾乳器全体をマニュアルに従い適切に消毒する。搾乳は健康な養育者が児に新生児に与える。
母親と家族は母乳育児を続けるために、また、母親のCOVID-19による病気の間の搾母乳の使用方法、母乳分泌維持の方法、後から使うための搾母乳の保存方法などについて、追加のガイダンスや支援を必要とするかもしれない。

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UNFPA(国連人口基金)
新型コロナウイルスと妊娠についての声明 2020年3月5日
UNFPA statement on novel coronavirus (COVID-19) and pregnancy
https://www.unfpa.org/press/unfpa-statement-novel-coronavirus-covid-19-and-pregnancy

母乳育児に関する記述の部分の抜粋
母乳育児中の女性は新生児と分離すべきではない。
ユニセフによると、呼吸器のウイルスが経母乳感染することを示すエビデンスはないからである。
下記の必要な予防措置を実施すれば、母親が母乳育児を続けることは可能である。
症状を呈しているが母乳育児を行えるほど状態のよい母親は、児の側にいるとき(授乳中を含む)はマスクを着用し、児と接触する前後(授乳を含む)は手を洗い、汚染された表面はきれいにし、消毒する。
母親が母乳育児ができないほど病状が重い場合は搾乳が推奨され、搾乳された乳汁は、マスクを着用して清潔なカップやスプーンで児に与えることができる。児と接触する前後(授乳を含む)は手を洗い、汚染された表面はきれいにし、消毒する。